新トレ@シリウス

 新聞は新社会人の必需品。高度な情報化時代だからこそ、国内外や地域の確かで細やかなニュースが仕事には欠かせない。盛岡市東安庭の住宅メーカー、シリウスグループは全新入社員に1カ月間、社費で岩手日報を購読させており、研修では岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を取り入れた。県内の持ち家着工数15年トップを続ける同グループの新戦力は、意欲的に新聞の活用術を学んだ。

読み方学び視野広く

仕事に活用できる新聞の読み方を学ぶシリウスグループの新入社員

 講座は4月14日、2週間の研修の最後に開催。新入社員6人全員が受講した。

 最初の1時間は岩手日報社編集局NIE・読者部の鈴木義孝部長が新聞の構成とともに、読み方を説明。記事の配置や見出しの大きさ、前文などを把握することで、忙しい朝にも短時間で情報収集できることを紹介した。

 ネット文化で育ち、それぞれ、これまでじっくり新聞を読んだ経験は多くない。住宅関連や企業決算、地域の話題など幅広い記事が分類されて掲載されている紙面を、各面の特徴の説明を受けながら、新鮮な表情で読み込んでいた。

 後半の30分間では班に分かれ、自分が気になった「一押し記事」を切り抜き、選んだ理由を発表。新型コロナウイルスの感染拡大の影響や、顧客に多い子育て世代に求められるサービスなど、自分の考えを織り交ぜて紹介し、新聞が知識や表現の引き出しを増やすことを実感していた。

 同グループでは昨年から入社後1カ月の岩手日報の購読を始めた。シリウス総務部の小原結城(ゆうき)係長(34)は「ネットから情報を得ることが多い若い世代が、関心を持って岩手を中心とする幅広い情報に触れられた。社会人として視野を広げ、継続的に仕事に生かしてほしい」と期待する。


購読の習慣化が大事

佐藤幸夫代表に聞く

 シリウスグループの佐藤幸夫(さちお)代表(72)に、新聞や活字が人材育成に果たす役割や意義を聞いた。

「毎朝、地元紙と経済紙に目を通し、大事な記事は切り抜きする」と語るシリウスグループの佐藤幸夫代表

-新入社員に岩手日報を読ませている狙いは。

 「地元で仕事をする以上、地元のニュースは頭に入れておかなければ。営業やお客さまとの対応の中で、経済、スポーツ、地域などさまざまな話題が出てくる。新聞を読まないと話にならず、絶対に必要だ」

-ネットでニュースを把握する若者が多い。

 「悪いことではないと思うが、瞬間、瞬間の情報で、頭に深く残らないし、いろんなフェイクニュースもある。新聞は内容を反すうできるし、記事を手元にも残せる。若手社員も新聞を読むことで世の中に広く関心を持つようになった」

-自身はどう新聞を読んでいるか。

 「毎朝、地元紙と経済紙を1時間かけて隅から隅まで、経済、政治、さまざまなニュースに目を通し、大事な記事は全部切り抜きして保存している。岩手日報にはもっと経済や企業情報を充実させてほしい。新聞を読まないと一日が始まらず、休刊日は寂しい」

-活字に触れる意義は。

 「社員には人生訓への感想文などを書かせて提出や発表をさせている。良いことは強制させるのが方針。習慣化することが大事で、あいさつはもちろん、新聞購読や読書もそうだ。今も毎月20冊近く、経営書や歴史書を読んでいる。『賢者は歴史に学ぶ』という言葉がある。歴史には成功のストーリーが詰まっている」

 「休みの日も会社に来て本を読んだり、人と話している。経営者は社員の幸せへ全力投球するのみ。社員への子ども手当や利益に連動した報酬など会社の負担も大きいが、生活が安定すれば、さらに仕事を頑張ってくれるし、子どもも育てられ、岩手の人口減に歯止めもかけられる。経営者は理念とそろばん。厳しい時代だからこそ理念が必要だし、経済的な裏付けがなければならない」

-新入社員研修での新聞講座を含め、人材育成に力を入れる理由は。

 「会社は人こそ財産だ。新入社員研修では、自分が計16時間、直接、思いや働く意味を伝えている。求めるのは素直で前向きな姿勢。なんとなく会社に入るという人は多いと思うが、プラス思考で夢や野望を持って働けば、人生は全く違うものになる。どれほど優秀でも理屈ばかりだったり、あいさつができない人は何もできない」

 「20代から30代前半までは、人生の基礎能力をつける大事な時期だ。うちの会社にずっといる必要はないし、別の会社をつくって社長になってもいい。どんどん自分の力を伸ばしてくれればいいと思っている。志を持ち、人徳を向上させてほしい」


自分の内面豊かにできる・小倉猛瑠(たける)さん

 見出しに目を通すだけでも短時間で情報が得られることを知り、新聞が身近になった。活字に触れるのはスマホばかりだったが、情報収集のレパートリーが増え大人になった気がする。新聞で自分の内面を豊かにし、お客さまに信頼される営業マンになりたい。

安心の家造りに役立てる・小泉翔太郎さん

 新聞にはさまざまな情報が掲載され、ためになることが分かった。経済欄には新型コロナの影響で、建設会社が広範囲に工事を中止するという記事があった。先行き不透明な時代だが、新聞で情報を得ながら、建設担当として安心安全な家造りに携わりたい。

営業相手との会話に深み・石川亜門さん

 大学時代にも新聞の読み方講座があり、試験のために集中して読んだときは、知識が蓄積されるのを実感した。購読は習慣化していなかったが、これからはできる範囲で、仕事に役立つ地域のニュースに目を向けたい。営業先との会話に深みが増すと思う。

短時間で多くの情報収集・高橋綾花さん

 短い時間でも見出しを中心に読むことで、多くの情報を収集できた。ネットやオンラインの活用に興味があったが、岩手日報には県内や地域のいろんな話題が載っており、積極的に読んでいきたい。それぞれの良さを取り入れ、社会人として役立てていく。

離れた古里の記事楽しみ・高屋敷歩さん

 ニュースはテレビで見ることが多かったが、新聞は記憶や手元に残る良さがあると実感した。積極的に情報を得て、幅広い世代のお客さまとコミュニケーションを取りたい。新聞でこれから勤務する地域を知りたいし、離れた古里の話題を読むことも楽しみにしている。

難しいイメージ変わった・村上さくらさん

 新聞には難しいイメージがあったが、講座で読み方のポイントを知ることができ、内容が理解しやすくなった。いろんな分野のニュースが載っていて、興味を持てる記事が多いことも発見だった。情報を収集することで視野や話題を広げ、仕事に活用したい。

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