国際リニアコライダー(ILC)計画の位置づけが注目を集める次期欧州素粒子物理戦略(2020~24年)の策定は、当初予定の5月25日から延期される。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえた判断で、今後対応が協議される。

 欧州合同原子核研究所(スイス、CERN)はホームページに方針を示した。同日のCERN理事会に提出予定だったが、感染症の拡大を受け「次期戦略を公表するのは適切な時期ではない」と説明。同日にテレビ会議を開き、今後の進め方を議論する。

 理事会議長のアーシュラ・バスラ氏の談話として「策定に努力した多くの物理学者は失望するが、この状況ではプロセスは少し長く続くことになる」と記している。

 ILCは宇宙創成の謎に迫る素粒子物理学の巨大実験施設で、実現には幅広い国際協力が不可欠。国内誘致の可否を検討中の日本政府は欧州戦略に計画がどう位置付けられるか注視してきた。

 東北ILC準備室長の鈴木厚人県立大学長は「感染症が猛威を振るう状況で深い議論はできず、延期はやむを得ない。2月に文部科学省は(国内誘致について)前向きな意見を出しており、準備段階でやるべきことをしっかり進める」としている。