新型コロナウイルス感染症拡大の影響は日に日に大きくなり、春から夏にかけて県内主要イベントの中止や延期が相次いでいる。

 華やかなはやし屋台で知られる奥州市の日高火防祭(ひたかひぶせまつり)の中止は、3月12日に決まった。本番まで1カ月以上ある中での決断は、練習期間などを考慮してのもの。実行委によると昨年は11万人以上が訪れており、感染拡大防止を踏まえての判断は致し方ない。

 中止決定後、日高神社火防祭保存会の及川右(あきら)会長が「先が見えない中ではやむを得ない」と苦渋の表情で語ったのが心に残った。関係者の思いを代弁して話していたのだと思う。

 数日前、私は市観光写真コンクール(市観光物産協会主催)の審査員として、地域の祭りや風景の写真を見ていた。はやし屋台を捉えた作品も応募されていて「今年は見られないのか」と思うと寂しさが募った。毎年開かれる伝統の祭りとはいえ、決して当たり前の光景ではないと感じた。

 感染拡大の終息は見通せず暗いニュースが続くが、地元商工業者らの応援機運を高めようと会員制交流サイト(SNS)を使ったキャンペーンが企画されるなど地域の動きも出てきた。当たり前の日常や景色を少しでも早く取り戻すため、力を合わせて苦難を乗り越えたい。

(佐藤 俊男)