県内で数人しか職人がいない南部鉄瓶の持ち手となる「鉉(つる)」の工房が、次代に引き継がれた。雫石町板橋の菊池翔さん(35)は今秋引退する師匠の事業を承継し、盛岡市内で新工房を設立。伝統工芸職人の高齢化や担い手不足が深刻さを増す中、盛岡地域唯一の専門工房で磨いた技を受け継ぐだけでなく、新たな担い手育成にも力を入れる。

 同市繋の盛岡手づくり村の一角に新設された工房「鉉屋」の作業場。師匠で伝統工芸士の田中二三男さん(66)=同市=が見守る中、菊池さんが鉄を打ち、きれいな曲線を形作る。

 鉉屋は田中さんが2002年に同村敷地内に設立した「田中鉉工房」の事業を承継する形で開業。弟子の菊池さんが代表に就き、田中さんは9月まで顧問として支える。