漠然とした不安が広がる春。二戸支局管内のスーパーやドラッグストアからもマスクや消毒液が消え、一時はトイレットペーパーなど紙製品の棚も空になった。

 さまざまな業界に影響が広がる中、12日に投開票された九戸村長選では選挙期間中の総決起集会がなくなり、候補者と支持者が握手するおなじみの姿が見られなくなった。イベントが中止になるなど取材キャンセルも相次いでいる。

 隣県で感染者が出た際は、うわさやデマが出回った。品薄のマスクを巡っては、倫理観の欠如を感じる事件もあった。

 一方で、人の温かさに触れる取材も。二戸市の卸小売業岩食商事は3月、市内の児童クラブに通う子どもたちにパン600個を寄贈した。休校中の子どもたちはもちろん、連日の弁当づくりに奮闘する保護者にも喜ばれた。私もその一人だ。

 「食に関連する会社なので、食を通して支援したかった」と同社の米沢吏則取締役。その言葉に、改めて自分には何ができるのか、考えさせられた。

 少し先の状況すら見えないこんな時だからこそ、想像力を働かせ、多様な立場の人たちに思いをはせよう。そして、当たり前の毎日が決して当たり前ではないことを忘れず、冷静に情報を発信していきたい。

(阿部友衣子)