昨年10月の台風19号上陸から12日で半年が過ぎた。大規模な土砂災害などに見舞われた普代村で、台風襲来の直後に生まれた同村下村の水産加工業金子太一さん(35)の長男颯天(はやて)ちゃんも間もなく生後半年。道路が寸断され、不安の中で病院にたどり着いた金子さんと妻の佳子さん(38)は当時、災害時に出産するリスクを身を持って体験した。2人はわが子の成長を見守りながら、平穏な日常に感謝する。

 台風19号は、昨年10月12日から13日未明にかけ本県に最接近。同日早朝、目が覚めた佳子さんは違和感を覚えた。「破水だ」。予定日より9日ほど早い陣痛だった。

 急いで久慈市の県立久慈病院に向かおうとしたが、村内は各所で土砂崩れが発生。幹線の国道45号が使えず、回り道もできなかった。土砂の撤去で午前8時ごろに国道45号が開通。颯天ちゃんが産声を上げたのは、13日深夜のことだった。

 台風禍の中で生まれ、村の復興とともに成長する颯天ちゃんは大きな希望だ。佳子さんは「助かったのは人のつながりのおかげ。元気に育ってほしい」と感謝と期待を込める。