普代村出身で、村国保診療所長の柾屋美緒医師(37)は、今月末で同診療所を退職する。東日本大震災や台風で被災した古里で、村唯一の医師として住民の命と健康を守るため9年間にわたり力を尽くしてきた。今後は家族と暮らすため久慈市に移るが、引き続き同村も含めた地域医療に貢献し続ける考えだ。

 柾屋医師は普代村銅屋出身。28歳の若さで診療所長となったが、震災が着任直前に発生したこともあり重圧は大きかった。昨年の台風19号でも村は大きな被害を受けた。ものを食べられない、眠れないという人。乾燥した土砂が砂ぼこりとなり、それを吸って体調を崩す人。「震災より大変な思いをした方も少なくなかった」と振り返る。

 同診療所は洋野町国保種市病院の外科医長、荒谷宗充医師(54)が後任の所長となり、柾屋医師も月2回は糖尿病外来を受け持つ。「医者がたった一人の村に生まれたことが自分の運命」と柾屋医師。「今後も地域医療を担い、患者の人生に寄り添っていきたい」とほほ笑む。