一関市の景勝地、厳美渓で「空飛ぶ団子」として人気を集める郭公(かっこう)屋の「郭公だんご」。その4代目店主、千葉晴夫さん=同市厳美町=が28日、73歳で他界した。団子を飛ばし続けて約半世紀。名人芸とも言える絶妙なロープさばきは観光客の喝采を浴び、初代酉吉(とりきち)翁が始めた団子を名物へと定着させた。飾り気のない社交的な人柄は団子同様、長年多くのファンに親しまれ「厳美観光の顔」だった。

 店の2階から対岸のあずまやまで約80メートル。弟信義さん(60)と交代で、3本の団子が入った籠をワイヤ伝いに宙を滑走させ、客の元に届けるのが主な仕事だった。一緒に入れた、なみなみと注がれた茶もこぼさないロープさばきは名人芸。「小学5年ごろからロープに触れてきたから」。長年の経験で培った熟練の技が観光客を楽しませた。

 人気にあぐらをかくことなく、常に「お客第一」がモットー。サービス精神にあふれた。外国人客向けにその国の国旗を掲げ、国歌を流すのも晴夫さんのアイデア。次男陽介さん(42)は「お客さんを喜ばすことが自分の喜びだった」と亡父を語る。