本県に滞在後、新型コロナウイルス感染が判明した県外在住者の行動歴について、滞在地などの公表を見合わせた県の姿勢に「県民の不安を広げている」などの意見が27日、本社特命取材班に続々と寄せられた。県は、プライバシーと風評被害、感染拡大リスクを総合的に判断して公表する方針。インターネット上で感染者への誹謗(ひぼう)中傷が広がっている現状もあり、感染症の拡大防止につながる情報公開の在り方は、災害時の行方不明者捜索など人命に直結する実名公表などとは異なる難しさに直面している。

 県などによると、北海道小樽市で感染が判明した茨城県在住の40代男性は、16日から8日間本県に滞在。花巻空港から23日、空路で北海道に向かった。

 県は26日、男性の県内での立ち寄り先や移動手段について「プライバシーに関わる」とほぼ説明しなかった。当初、「すぐには出さない」としていた濃厚接触者4人の検査結果については、報道各社の要請を受け判明直後の深夜に発表したが、男性の滞在地などは今も明らかにしておらず、県民の不安は残っている。

 県保健福祉部の今野秀一副部長は27日、「感染拡大の防止に必要であれば公開する」とする一方、「地域名だけでも店舗などへの風評被害につながりかねない。情報公開とのバランスの取り方は簡単ではない」と説明。詳細を公表するケースとして、ライブハウスでの感染など接触者を把握しきれない場合や、せきなどの症状がある状態で利用した交通機関などを挙げた。

 個人情報に詳しい新潟大の鈴木正朝教授(情報法)=北上市出身=は「氏名などは不要だが、科学的に拡大防止につながる情報は発表すべきだ。感染防止は広域対応が求められるが、行動歴の調査の可否や公表の範囲が自治体任せになってしまっている。必要な情報を収集、公表できるよう法整備が必要だ」と訴える。