新トレ@盛岡西署、奥州署

 盛岡西署(阿部裕一署長)と奥州署(中屋敷修二署長)は、岩手日報社の「新聞トレーニング(新トレ)」を取り入れ、若手警察官らの情報収集力や文章力、会話力の向上を図った。

盛岡西署 切り抜き使い会話力

新聞記事の切り抜きを持ち寄り、選んだ理由や感想を話し合う盛岡西署員

 盛岡西署は1、2月、岩手日報社の新トレを導入。3回の講座を展開し、若手警察官十数人を中心に計約40人が受講した。新聞の読み方、記事を使った住民とのコミュニケーション、ミニ広報に生かせる文章について学んだ。

 講座は記事を生かしたコミュニケーションを重視。冒頭、受講者がテキストとして自宅で購読する岩手日報から切り抜いた記事を活用。住民との会話をイメージし演習した。

 第1回、第2回の講座では本社記者が新聞の効率的な読み方、会話への生かし方、明瞭な文章の書き方を説いた。新聞は読み方のこつをつかめば手軽に多種多様な情報が入手できる有効なツール。記事の特徴を理解して読むことで、簡潔な文章の書き方も身に付く。

 第3回は、新聞作り。交番のミニ広報に活用できる新聞作りの技を記者が説明した。地域住民への情報提供や事件事故の注意喚起の役割を担う広報。より分かりやすく、インパクトのある紙面を作るためのアドバイスを行った。

 何を伝えたいかを第一に考え▽記事に優劣(強弱)をつける▽見出しは短い言葉で▽縦組み、横組みの変化で読み手を飽きさせない-など紙面作りのポイントを解説。新聞記事と同様に、見出しは大事な情報が一目で分かる重要な項目。読みたくなる言葉を効果的に使うことで、目を引く紙面を作ることができることを伝えた。

 講座では盛岡西署管内の交番で実際に製作されている広報を使い、良い点や改善点を指摘。受講者は「回りくどい表現ではなく、簡潔に伝えることが重要だと分かった」「見出しの付け方など参考にしたい」と、今後の広報作りに意欲をみせた。


話題づくり、新聞最適

阿部・盛岡西署長に聞く

 警察官に求められる情報収集力や文章力の必要性について、盛岡西署の阿部裕一署長に聞いた。

「『全ては地域住民のために』実現へ新聞は有効」と語る阿部裕一署長

-新聞は警察業務に有効か。

 「巡回連絡や職務質問、事件捜査など人と関わる職業。話題は多いほどいい。新聞には地域の行事や文化がたくさん載っている。特に岩手日報は、地域に密着した記事が豊富だ。新聞は他のメディアと違い、情報量が多い上、忙しいとき、時間のあるとき、それぞれ情報収集ができる利便性がある。行動指針『全ては地域住民のために』を実現するため、何が住民のためになるのかを考える上でも有効だ」

-文章力や会話力、ミニ広報製作の講座も展開した。

 「警察が扱う文書は、捜査報告から広報までさまざま。概要を的確に示し、タイトルだけで分かるようなまとめる力が要求される。新聞記事は現場の取材に基づいた『力のある言葉』で書かれている。短くまとめる、説得力のある文章や会話の参考になる」

奥州署 報告書を簡潔明瞭に

紙面を開き、関心を持ったニュースや記事の書き方について意見交換する奥州署員

 奥州署は1~3月、岩手日報社の新トレに取り組んだ。3回の講座を開催し、実務経験5年未満の若手警察官らを対象に約40人が受講。新聞の読み方や記事の手法を生かした文章の書き方、会話への活用術を学ぶ。

 スタートは新聞の読み方。ルールは簡単で、記事を要約した見出しを追うだけで、内容が一目で分かるのが特徴だ。紙面の構成を理解すれば、どこに何が書いてあるか把握できる。重要なことから書く逆三角形の文体は短時間で読むのに最適で、本より手軽に多種多様な情報を得られると本社記者が解説した。

 受講者は、1面から最終面まで全ページに目を通す10分読みに挑戦。どれだけ速読できるかを試し「見出しだけでどんな記事か判断できる」「どこに何が書いてあるか学び、読みやすくなった」と効果を実感した。

 テキストの新聞は自宅で購読。切り抜いた記事を持参し、会話に生かす方法も学んだ。新型肺炎や本県サバ缶詰の話題など、注目した記事について隣の席の署員と意見交換。3日には、地域の話題が豊富な本紙をコミュニケーションツールとして利用するワークショップを行う。

 記事的な文章の書き方では記者の文章術を展開。新聞記事は、伝えたい情報を取捨選択し要点を簡潔にまとめる。一般的な文章を書く場合も、読む人の立場で分かりやすく書く意識の重要性を記者が説いた。

 警察文書に記事の技法を生かす方法も紹介した。昇任試験のテキストなどを例に「5W1H」「誰からの情報か」「伝聞か、自分で見たか」「主語、述語の使い方」など新聞記事との共通点を示し、読み手に伝わりやすい簡潔明瞭な文書の書き方をアドバイス。受講者は演習で読みやすい文書の必要性を再認識した。


情報収集、役立つ新聞

中屋敷・奥州署長に聞く

 警察業務に新聞情報を生かす利点などを奥州署の中屋敷修二署長に聞いた。

「情報のいち早い入手へ新聞は役立つ」と話す中屋敷修二署長

-署員が新聞を読む利点は。

 「東京で起きていることが今日、岩手で起きる可能性があるし、外国の出来事が日本に入ってくる可能性もある。事件事故は防止が肝心で、あらゆる情報をいち早く入手し対策を立てることが警察には求められる。そこで、さまざまな情報を迅速に伝える新聞が役立つ。祭りや行事といった地域の動きについても、出来事を知り住民に接すれば話題も多く話も弾む。紙面に目を通すことは地域の情報収集につながる」

-若手警察官らに新聞トレーニングをどう生かしてほしいか。

 「警察官である前に、常識のある社会人になってほしい。そのために必要な知識や常識が、新聞には詰まっている。地域を守るのは地元の人々。住民を支えるため、どんどん入り溶け込んでほしい。新トレは地域と親しむ情報収集の入り口になる」


記事的文章に関心・麻生尚希巡査

 ネットなど情報はあふれているが、新聞さえ読んでいれば地域の話題をはじめ情報を効率的に得られる。管轄外の事件事故の記事にも注意し、住民らの質問に答えられるように心掛けている。記事的文章の書き方講座では、新聞記事の技法に関心を持った。報告書や広報には多くの情報を盛り込もうと考えてしまうが、簡潔にまとめる力が大切だと実感した。

広報に生かしたい・伊藤和弘巡査

 新聞記事を参考にした文章の書き方は交番で作るミニ広報に応用できると感じた。また、一目で読む人に伝わる見出しの付け方はぜひ活用したい。警察官は巡回連絡など、地域住民とコミュニケーションを取ることが重要な仕事の一つ。新聞記事を例に挙げることで事件や事故の注意喚起にも役立つ。会話のきっかけとして新聞の情報を生かしていきたい。

読み方のこつ学ぶ・菊池奈々佳巡査

 警察学校では毎日のように新聞を読んでいたが、最近は遠ざかっていた。久しぶりに読んでみて最初は苦労したが、読み方のこつを教わり、負担を感じず読めるようになった。新聞を読むことで文章の大切な部分の捉え方や、簡潔な文章の書き方が身に付くと感じた。大事な事柄を短くまとめる手法のアドバイスを報告書の作成に活用したい。

紙面を開く機会に・川村康やす嘉ひろ巡査長

 実家では新聞を購読していたので読む機会があったが、1人暮らしを始めてからニュースはスマートフォンで検索する程度だった。今回の講座では新聞紙面を開く機会ができたことが一番大きい。特に仕事に関わる記事や地域の話題を気にして読んでいる。新聞は興味のある話題以外にも目が行き、幅広く情報を得られるので、これからも読んでいきたい。

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