【東京支社】国際リニアコライダー(ILC)計画の実現に向けた国際シンポジウムは8日、東京都文京区の東京大で開かれた。ノーベル物理学賞を受賞したピーター・ヒッグス氏(英国)や小林誠氏らが講演。ILCの研究対象となる素粒子の存在を半世紀以上前に予言したヒッグス氏は「早く整備することが必要で、日本は主導する立場にある」と訴えた。

 高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)、東北ILC推進協議会など12団体が主催。盛岡市、広島市、福岡市では映像を中継し、4会場で約600人が参加した。

 物質に質量を与える「ヒッグス粒子」を予言して2013年に受賞した英エジンバラ大名誉教授のヒッグス氏はビデオ出演。素粒子物理学で未解明の課題解決のため、ヒッグス粒子の詳細研究の必要性を指摘した。その上で「大量の粒子を作り出せる次世代の施設を早く整備する必要がある。日本は主導する立場だ」と期待を示した。

 実現のハードルとされる建設費に関しては「経済的負担になるとみられるかもしれないが、建設が地元経済にもたらす影響はそうした負担を超えるものだ」と説いた。

 08年に受賞したKEKの小林誠特別栄誉教授と、米カリフォルニア大バークレー校の村山斉教授、早稲田大の駒宮幸男教授はパネル討論を行った。小林氏は「ヒッグス粒子は基本原理など、まだ分からない事が多い。ILCでの実験が重要なヒントを与えてくれると期待する」と強調。小林氏と同時に受賞した名古屋大の益川敏英特別教授もビデオメッセージを寄せた。

 ILCは岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が世界最有力の建設候補地とされ、ヒッグス粒子の詳細研究を想定している。欧米の科学者コミュニティーは日本に誘致を強く求めており、政府は国内誘致の可否を検討している。