盛岡市の羽場小(及川一也校長、児童182人)は、総合的な学習の時間や教科の授業、最新ニュースを伝える校内放送、週末課題のワークシートなどで新聞を活用している。

台風の続報追う

 4年生(29人)は本年度、総合学習や社会の時間を使って防災学習に取り組んだ。新聞を使った活動を始めようとしていた矢先、台風19号が上陸。担任の相馬佳子教諭は教室に毎朝、台風の1面トップ記事を貼り続け、児童は続報を追いかけた。「台風19号」が防災学習のメインテーマになり、記事を集め、分析することにした。

 災害報道の新聞を活用することについて、相馬教諭は「1面を見ると『今』のことが分かり、スクラップしておくと過去の記録として振り返ることができる。もっと知りたい、深く追究したいという学ぶ意欲に応えられる教材」と説明する。

 中でも、災害現場や被災地の様子をストレートに伝える報道写真に注目。「記事だけでなく写真を細部まで丁寧に見ていくと、実にたくさん情報が詰まっている」と、写真スクラップを軸に活動を進めた。

 児童は2学期末までほぼ2カ月間、台風関連の記事を読み続けた。6班に分かれ、模造紙を使って写真のスクラップ新聞を作成。写真の周りに記事の要約と感想、疑問などを書き込んだ。

多様な視点育む

新聞の1面の移り変わりを解説する相馬佳子教諭

 1月下旬にクラス発表会を開催。1班は住宅街の冠水や自衛隊ヘリによる救助活動、道路の土砂崩れの写真をスクラップした。「救助活動には時間がかかる」「避難指示が出てから避難するのではなく、危ないと思ったら安全な場所へ早めに避難を」と呼び掛けた。

 2班は災害ボランティアに注目するとともに「集めたごみはどこへ捨てるのだろう」と疑問を持った。答えは次に発表した3班の新聞にあった。児童の通学路に高く積まれた災害ごみの写真から「学校や道がごみ捨て場になってしまった」と、被災地の学校生活に支障が出ていることを知った。

 4班は日ごとに増える犠牲者の数に被害の深刻さを感じ取った。5班は漁業や農業への被害に目を向けた。6班は災害ごみの重さや処理にかかる日数、漁業や農業の被害額、断水戸数などデータから被災規模を読み解こうとした。

 各班で調べるテーマが派生し、クラス全体で「台風19号」を多角的に分析することができた。相馬教諭は「自然災害がなくなることはない。学んだことを生かし、想像力を働かせて災害に備えたい」と力を込める。


「最新記事 お伝えします」

児童の昼の放送に反響

放送室で記事の原稿を読み上げる佐々木響君(左)と藤村周平君

 給食の時間、教室のスピーカーから1月のニュースが流れた。「箱根駅伝では青山学院大学が優勝しました」「県立美術館で開かれているジブリの大博覧会(~2月16日)が人気です」

 放送委員会は岩手日報こども新聞「ジュニアウイークリー」の中から記事をピックアップし、毎週月曜日の昼の放送で最新ニュースを届けている。教室では児童が給食を食べながらニュースに耳を傾け、自分の考えや感想を披露し合う。

 放送を楽しみにしている佐々木佳貴(よしき)君(6年)は「テレビで取り上げないニュースを聴くこともある。野球、東京五輪などスポーツや音楽の話題など、これからもいろいろなジャンルの記事を読んでほしい」と期待する。

 放送室で1月のニュースを読み上げた放送委員の藤村周平君(6年)は「みんなが知っていて楽しく聴いてもらえるような記事を選ぶようにしている。今後はクイズなどもやってみたい」と思いを巡らせる。本番直前に原稿を念入りにチェックしていた佐々木響君(5年)は「友達に『面白かった』『楽しかった』と言われるとやりがいを感じる」と笑顔を見せる。

 校内放送で新聞を読むようになったのは3年前から。低学年にとって難しい言葉が出てくることもあるが、担任教諭が言葉の意味やニュースの背景を説明してサポートしている。沢田美樹子教諭は「こども新聞はニュースが短くまとめられているので使いやすい。新しい言葉に出合うきっかけになる」と導入した。

 本年度は平成から令和への改元、ラグビーW杯など大きなニュースから、岩手の地域の話題までさまざまな記事を放送した。及川一也校長は「今、どんなニュースがあるのか関心を持ち、社会への視野を広げていってほしい」と願う。


高田 桐以(とうい)君

 台風19号について学習し、自然災害がとても怖いと思った。また、台風から4カ月たった現在の状況を新聞で知ることができることも分かった。新聞のまとめ方を学んだので、今年は東京五輪の記事をスクラップしてみたい。

田村 友香(ゆうか)さん

 地球温暖化のニュースが気になっている。特にグレタ・トゥンベリさんの記事に注目し、ストライキなど大人を説得する頑張りに感心している。自主学習ノートで新聞記事を使い、温暖化についてまとめてみたい。

小泉 慧太朗(けいたろう)君

 阪神大震災25年、オーストラリアの森林火災など災害の記事に目が行く。父が自衛官をしており、自分にとって災害は身近なものだ。テレビやネットのニュースなどと違い、自分で新聞の活字を読むと、考えが深まると感じている。

沢藤 理音(りの)さん

 最近読んだ記事で東京五輪を目指す選手たちが頑張っていることを知った。開催が近づき、わくわくしている。「このニュースはどういう意味?」と思ったときに新聞を読むと詳しく分かるし、友達にも教えてあげられる。