【米メンローパークで報道部・稲垣大助】国際リニアコライダー(ILC)計画を巡り、国際将来加速器委員会(ICFA)は日本時間の21日、米カリフォルニア州中部メンローパークのSLAC国立加速器研究所で国際会議を開いた。誘致の可否を検討している文部科学省は政府見解として「国際的な費用分担など課題の解決が必要だ」とした上で「関心を持って米欧との意見交換を実施する」と表明した。

 世界の主要な加速器研究所長や素粒子物理学の研究者ら約50人が参加。同省の増子宏・大臣官房審議官は国内の状況について、日本学術会議が1月末に公表したマスタープランを踏まえ「優先度の高い大型学術研究プロジェクトを掲載する文科省のロードマップの審査対象になる」と述べた。

 米政府との協議状況は「日本がILCをホスト(誘致)する場合は支持するとのコメントがあった」と説明。ILC建設の資機材などを提供する「現物貢献が可能」との姿勢を示していることも明かした。

 英仏独とは今月、初の4者協議を行ったとし、費用の国際分担に関して「さまざまなプロジェクトを抱えており、現時点で参加する資金的余力がないとのことだった」と語った。

 一連の経緯を踏まえた政府見解としては「技術的成立性や国際分担を含む課題を解決し、国内外の幅広い協力が得られることが必要だ」とした上で「素粒子物理学における一定の学術的意義などにも鑑み、関心を持って米欧との意見交換を実施する」と述べた。

 関係者によると、ILC誘致を推進する超党派国会議員連盟会長の河村建夫・元官房長官(自民党、衆院山口3区)は会場で「日本政府はまだホスト国になると決めてはいないが、強い関心がある」と述べ「サイエンス・ファースト」の姿勢を強調した。

 会議終了後、増子氏は岩手日報社の取材に対し「昨年3月以降、政府間で意見交換を続けてきた。今後も前向きに対応していく。来年度から仏独と建設費削減のための研究開発を始める」と語った。

 同委のILC推進組織、リニアコライダー・コラボレーション(LCC)のリン・エバンス代表(英国)は「昨年の政府見解よりも積極的な内容で、ILCに対する前向きな意欲を確信できた」と評価した。

 文科省は昨年3月、同委の国際会議で「現時点で(誘致)表明には至らない」とした一方「関心を持って国際的な意見交換を継続する」と説明。今回はそれ以来の政府見解となる。