「私の故郷の群馬県にも富士山がある。富士山ってどこにでもあるんですか」。浜松市内の主婦から中日新聞東海本社(静岡市)の特命取材班に疑問が届いた。いやいや、そびえたつのは静岡と山梨ですよね…と考えるのは拙速だった。調べてみると、富士と名の付く山は日本中、いや世界中にあった。

 富士はいくつあるのか。日本地図センター相談役の田代博さん(69)は「富士はあやかりたい存在で『ふるさと富士』は各地にある。○○富士と通称で呼ばれるものも含めれば、400以上」と解説する。

 薩摩(さつま)富士(開聞岳・鹿児島県)や蝦夷(えぞ)富士(羊蹄山(ようていざん)・北海道)など円すいで、形が似ているものが多い。田代さんは「海外にも60ほどある」と付け加えた。

 (中日新聞東海本社・内田淳二)


岩手山は「南部片富士」

「南部片富士」とも呼ばれる岩手山(盛岡市・岩山展望台から撮影)

 本県のふるさと富士といえば「南部片富士」、県内最高峰の岩手山(2038メートル)だ。盛岡市から見ると呼び名の通り、東側の富士山のような美しい円すい形の斜面に対し、西側は起伏が目立つ。石川啄木が「ふるさとの山」とし、県民に愛される山は、火山活動の積み重ねでつくられた。

 雫石町長山の網張ビジターセンターによると、片富士となったポイントは、異なる時期の活動にある。岩手山は東西約13キロに25個以上の火山が集まり、少なくとも7回の山体崩壊を起こした活火山。きれいな円すい形の東側は約6千年前からの比較的新しい活動でできた。

 全国に富士は数あれど、ふるさとの富士はやはり「ありがたきかな」―。