いわゆる「人もの」と呼ばれる、活動を行う「人」に着目した取材が好きだ。相手の人生や軌跡について話を聞き、一冊の本を読んだような気になる。外勤記者2年目の青二才にとって学ぶことばかりで、取材という仕事だけでなく自身に照らし合わせた「私事(ごと)」としても聞き入ってしまう。

 1月上旬、野田村の特集記事「野田村新聞」の取材で、手紙で予約を取る同村の宿「苫屋」主人の坂本充さん(60)、久美子さん(61)夫妻を訪ねた。2人はニューヨークで出会い世界各国を旅して、野田村で定住を決めた。

 「へき地を探し求めたが、日本もへき地だと気づいた」と充さん。時計の音だけが響く中、いろりの前で伺う話は壮大で、不思議な感覚になった。

 脱サラして陶芸家となり国内外で活躍する、同村の泉田之也さん(53)の取材も忘れられない。敷かれたレールを外れ、求めた世界に飛び込んだ。「人は本来、なりたい自分にならないといけない」。含蓄のある一言は胸に響いた。

 話を聞いて学ばせてもらえる幸せな仕事だ、とよく思う。人の数だけ物語があり、生き方も信念もさまざま。多種多様な人がいるということこそが、地域の魅力なのかもしれない。今後も取材を通して多くの方々に出会うんだろう。とても楽しみだ。

(向山 俊恵)