2000年11月、二戸市で飲酒運転の軽トラックが登校中の児童の列に突っ込み2人が死亡、6人が重軽傷を負う交通事故があった。亡くなった児童の一人、福岡小1年大崎涼香(りょうか)さん=当時(7)=の母礼子さん(57)に、先輩記者とともに話を聞かせてもらった。

 親として、子どもが亡くなることほどつらいことはない。それが突然であれば、なおさら。礼子さんやご家族が体験した悲しみ、苦しみを聞き、あらためて事故の悲惨さに胸が締め付けられた。

 訪ねたのは、事故から20年たつことがきっかけだった。だが、部屋の中の勉強机やランドセル、写真などを目にして話を聞き、礼子さんにとって、事故や涼香さんへの思いは過去ではなく、現在まで地続きのものだと身にしみた。

 時間とともに事故を知らない世代が増える中、礼子さんは学校などで講演活動を続け「被害者にも加害者にもならないで」と、命の大切さを訴えている。

 メディアは「節目」をきっかけに報道することが多い。そして来年は東日本大震災から10年。風化を防ぐために伝え続ける重要性を自覚しながら、10年という時間を過ごしてきた人たちの思いを丁寧に拾い上げることもまた、忘れずにいたいと思う。

 (阿部友衣子)