歓声が響く境内。ステージから見た笑顔あふれる光景を思い出すと、今も胸が熱くなる。

 世界遺産の構成資産である平泉町の中尊寺。記者の必須アイテム、ペンとノート、カメラを持たずに向かったのは2月のこと。一年の招福を願って豆をまく恒例行事「大節分会(せつぶんえ)」に、子(ね)年生まれ、2回目の年女として参加した。

 成人式以来の着物に身を包み胸が躍る。裃(かみしも)を着け、本番前に動作の練習を終えると、さらに気持ちが高まった。

 しかし、豆まき前の法要で予期せぬ事態に。隣には青木幸保町長。正座の姿勢を崩すまいと躍起になっていたのだが、痛みが広がり立ち上がるのがやっとだった。

 ビリビリとした刺激を感じつつ本堂前の特設ステージへ。「福は内、鬼は外」の掛け声で豆をまき始めた。大升を抱えた大相撲の北勝富士関を見習おうにも、慣れない着物姿。近くの子どもたちにぱらぱらとまいてあげるので精いっぱいだった。

 思えば貫首の交代や、約50年ぶりの保存修理工事を終えた金色堂など、節目に立ち会えた1年だった。

 県南部で記録的な大雪に見舞われている現在、中尊寺では雪かきと並行して新年を迎える準備が進む。世界遺産登録10年を迎える来年も、多くの笑顔と出会えますように。

(菅野燈)