厳しい寒さが続く二戸市に、地域を沸かせるニュースが舞い込んだ。

 17日午後11時すぎ、国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会が、二戸市の日本うるし掻(か)き技術保存会(工藤竹夫会長)を含む、木造建造物を受け継ぐための伝統技術の無形文化遺産登録を決定した。

 8月中旬、漆掻きを取材した時の光景がよみがえってきた。幹に溝を付け、染み出す樹液をかき取る。早朝から作業を繰り返し、少しずつたまっていく。

 時間のかかる漆掻きの現場を目の当たりにし、漆器を使いたくなった。後日、浄法寺町の漆製品展示販売施設「滴生舎(てきせいしゃ)」を訪れ、カップを手に入れた。

 デザインはもちろん、口当たりの柔らかさや抗菌作用など魅力があふれる。手に入れて4カ月。さまざまな飲み物を注いだ。緑茶、コーヒーはもちろん、コーラ飲料、飲むヨーグルトも大丈夫だ。

 愛飲するエナジードリンクを注ぐと、中身の鮮やかなオレンジ色に驚いたが、高級感が加わり、なんだかいつもより元気になった気がした。

 漆器は使い込むことで磨かれ、つやが出る。購入して終わりではなく「育てる」楽しみもある。無形文化遺産も登録がゴールではない。これから磨かれ、ますます輝く姿を追い続けたい。

(石森明洋)