全ての事件・事故は人ごとではない。回転灯をつけて走行するパトカーや消防車を見たり、サイレンを聞くたびにそう感じる。

 4月に入社し、県警担当に。昼夜問わず発生する事件や事故の現場では、当事者や関係者の悲しみや葛藤が痛いほど伝わってくる。住み慣れた自宅が全焼した人、子どもを車ではねた人、家族を突然失った人-。誰もが加害者や被害者になる可能性がある。

 10月に盛岡市茶畑で発生したマンション火災。住民らが不安げに消火作業を見守る。話を聞こうとし、何人かに断られた。そのような中、迫る炎と煙から逃げ出してきた男性が、体験を克明に語ってくれた。

 黒くなった衣服、焦げた髪。どれだけ恐ろしかっただろう。もし自分だったら冷静ではいられない。突然当事者になった人の戸惑いに触れるたび、自分のすべきことは何かと考えた。

 ある事件に巻き込まれた被害者に取材したときのこと。嫌な気持ちにさせるかもしれないと思いながら臨んだ。思いがけない言葉が返ってきた。「多くの人に伝われば抑止になる」。取材に協力してくれた。

 報道を通じ、心の痛みを共有することで防げる悲劇があると、背中を押された気がした。当事者意識を忘れず、現場から目をそらさず取材する。いただいた言葉が今も心の支えだ。

(菅原真由)