遠野市を横断するJR釜石線。全線開業70周年の今年は関連の取材が多く、四季折々の豊かな表情を望む沿線を支える人々の底力を感じた1年だった。

 夏、同市上郷町の平倉―足ケ瀬駅間沿いで見た約7万本のヒマワリ畑は圧巻だった。「車窓の人に驚きを届けたい」と近くに住む農業駒込和男さん(78)が育て、近年は沿線の名所にもなっている。

 蒸気機関車「SL銀河」の運行も7年目。SLは多くのファンを遠野に運んできた。そこに「手作りのおもてなし」が加わることで、ファンの輪が広がる。駒込さんの遊び心を込めた地道な取り組みは、地域活性化の一つのモデルとなりそうだ。

 70周年の企画で取材した元SL機関士の山口京三さん(91)=同市穀町=からは、鉄路と歩んだ地域繁栄の歴史を学ばせてもらった。遠野郷を駆け抜けるSLの絵を描いて沿線を盛り上げる姿には、愛情と誇りがにじんでいた。

 全国的にローカル線の経営は厳しい。特に北海道からは、廃線、廃駅の報が毎年のように聞こえてくる。

 移動手段としてだけではなく、地域資源の魅力を発信する存在として鉄路を活用する。遠野には大いなる可能性がある。そう信じさせてくれる人たちの活躍が、来年も楽しみだ。

 (小野寺隼矢)