見た目は細かなサシ(脂肪)が入ったおいしそうな霜降り、口に含むと甘みが広がる-。北上市のブランド牛「きたかみ牛」を食した率直な感想だ。取材ではその上質な味を支える生産者の工夫と愛情に心を打たれている。

 印象に残るのは、きたかみ牛を活用した特別給食の提供に合わせて、10月に和賀西小で行われた食育授業。女性生産者で構成するビーフレディースきたかみの千葉洋子代表(68)らが肥育現場の「リアル」を伝えた。

 熱を測り、ふんの状態を見て体調を毎日把握する。夏ばてで体力が落ちると市販の栄養ドリンクを与え、育児に慣れない母牛には落ち着かせるためお酒を少々-。人にも通じる体調管理やリフレッシュ法には驚いたが、このような工夫がブランド牛の評価を支える。

 「わが子のように愛情を注ぐ」。千葉さんの言葉は、あらゆる産物の作り手の思いそのものとも言える。記事の一文字一文字を大事にして発信する者として身が引き締まった。

 和牛市場はコロナ禍で消費が落ち込んでいる。寒い冬が近づく中、1年頑張った自分や家族へのご褒美として、地域貢献として、年末はすき焼きの具材に県産牛を採用してみてはいかがだろうか。

(稲垣大助)