新トレ@県警察学校

 県警察学校(乳井(におい)博校長)はこのほど、盛岡市青山の同校で、岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を取り入れた授業を行った。今春入校した長期課程の37人が新聞から地元の情報を効率的に収集し、警察業務や生活に役立たせる方法を学んだ。

記事を生かし会話磨く

仕事で活用できそうな記事を切り抜き、コミュニケーションする受講者ら

 岩手日報社の記者が講師を務めた。紙面は記事だけでなく見出しや写真、図表などで構成されることを説明。見出しは記事の内容を最小限の字数で表現しており、ニュースの価値に応じて大きさが変わる点を伝えた。

 ニュース記事は1段落目に重要な要素を盛り込み、結論が分かるように書かれており、時間がないときは見出しや1段落目を読むだけでも紙面全体から幅広く情報が得られることを説いた。当日の新聞を使い、総合、経済、国際、社会などジャンルごとに記事が各面に掲載されており、地域の身近な話題は地域欄から得られることも紹介した。

当日の新聞に目を通し、効率的に地域の情報を収集する方法を学ぶ新人警察官ら

 学生たちは見出しを中心に、10分間で紙面全体に目を通し、仕事に役立つ記事を切り抜いた。その記事の内容や感想をグループ内で1人ずつ発表し、新聞の情報をコミュニケーションに生かす体験をした。

 4月の入校後、学生たちは寮生活で日々、新聞に触れ、当番制でスクラップ作りに取り組んでいる。佐々木直人教務副校長は「各面に何が載っているのか、どう読めばいいかを再確認できた。卒業後に配属されるのは各地の交番。毎日読む習慣をつけて、巡回などに情報を役立ててほしい」と期待する。

新人警察官が法律の知識、逮捕術などを学びながら心構えや規律を身につける県警察学校=盛岡市青山

求められる知力、対話力

乳井校長 一問一答

 学生たちへの期待などを県警察学校の乳井博校長に聞いた。

(聞き手=NIE・読者部 鈴木義孝)

「読解力や文書作成能力を向上させたい」と新聞活用の狙いを語る乳井博校長

-学生たちに寮で新聞を読ませている狙いは。

 「読解力の向上が大きい。活字に触れる習慣をつけることで読む力がつき、文書作成能力につながる。警察官には心身の強さだけでなく、知力や会話力が求められる。巡回連絡での会話力のほか、捜査報告書、供述調書、昇任試験など書く力が必要な場面が多い」

-警察業務に新聞はどう役立つか。

 「世界の動きから国内、東北、岩手、自分の住む町の話題まで網羅され、その中に警察として対応しなければならない事案が見つかる。北朝鮮のミサイル問題、イスラム過激派の動向、本県沿岸の復興状況、各地の防犯活動など、注目すべきニュースがすべて朝一番に読むことができる」

-自身と新聞の関わりは。

 「毎朝自宅で岩手日報を読み、職場で他紙にも目を通す。朝礼の校長訓話で新聞記事を題材にすることも多い。中学生のころ、国語の先生から毎日のように新聞の1面コラムを書き写す宿題を出された。コラムは筆力のある人が書いており、短い中でも時代を切り取っている。初めは宿題の意味は分からなかったが、今ではこれが読む力や書く力につながったと感じている」

-多メディア時代の新聞をどう見る。

 「スマホの情報は早く、世界の出来事を検索できるが、新聞とは別物だ。古き良き紙ベースの新聞は一覧性があり、知らなかった情報が自然に目に入る。テレビやラジオと違い、時間をかけてじっくり自分のペースで読み返すことができる」

-学生たちへの期待は。

 「警察は子どもから高齢者までと接するが、新聞にはそういう幅広い世代の方々が載っている。地域に出たときに記事を話題にコミュニケーションして、人間関係をつくってほしい。地域からの情報や意見、要望は貴重だ。警察活動への理解と協力が得られるようになるといい」

 「業務前に紙面に目を通し、世の中の動きを知ることが大事だ。制服を着ても脱いでも、常に警察官としての正しさ、心身の強さ(不正に力負けしない気力、体力、知力、会話力)、思いやり、奉仕する心、チームワークを忘れずにいてほしい」


やはり事件事故に関心・野中俊貴さん

 これまでは新聞を漫然と読んでいたが、どこに注目すればいいかが分かった。やはり県内外の事件事故に関する記事に目が行く。誰かの役に立ちたいという気持ちで警察官を志した。担当する地域のことを紙面から知り、住民の皆さんとの会話に生かしたい。

もっと幅広く目を通す・大坪沙紀さん

 朝は時間がなく、読むのを飛ばしてしまう記事もあるが、見出しだけでも概略が分かることを知り、もっと幅広く紙面に目を通したいと思った。小さいころから白バイ隊に憧れていた。交通事故で悲しい思いをする人を少しでもなくすため、役立つ夢を持っている。

社会情勢を知るツール・加藤凌さん

 新聞はパソコンやスマホとは違い、目に優しいし、落ち着いて読める。グループワークでは、同じ新聞でも人によって注目する記事が違うことを感じた。新聞をうまく活用して、警察活動の役に立てたい。新聞は社会情勢を知るツールで、自分の行動の指針になる。

報告書の作成に生かす・岩渕大聖さん

講座で学んだことは上司への報告書を作成するのに生かせそうだ。新聞は、見出しを見れば記事のおおよその内容が分かり、SNSとは違ってニュースの価値が分かる。新聞から得た情報を生かして、住民との会話などに役立て、地域に寄り添う警察官になりたい。

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