国際リニアコライダー(ILC)の誘致を目指す東北ILC推進協議会は8日、講演会を開いた。国内外で今年夏以降、建設に向けた動きが本格化する中、各国の研究者による国際推進チームや建設候補地で受け入れ準備を図る東北ILC事業推進センターの主力メンバーが、最新の動向や国内誘致の意義を説いた。

 オンライン形式で、同センター代表の鈴木厚人県立大学長、推進チームが拠点を置く高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の山内正則機構長、チーム部会長の米カリフォルニア大バークレー校の村山斉(ひとし)教授の3人が講演した。

 山内機構長はチームを軸に2022年ごろの設立を目指す準備研究所について「数千人規模のILCを造るには、前段階の準備研究所が必要。そのためチームを立ち上げた。実現する明確なプログラムができたのは大きな進展だ」と説明。各国の研究機関を通じて政府への協力の働き掛けを進めているとも述べた。

 鈴木学長は今後の受け入れ準備として「世界から届く部品を港湾からどう運ぶか検討などを進める。『グリーンILC』としてエネルギーを回収し、再利用する。最終的には自然エネルギーで動かしたい」と強調。外国人研究者や家族の住むまちづくりは「今ある衣食住環境を最大限活用する。地域に溶け込み、住民と自覚して生活する形にしたい」と語った。

 村山教授は「宇宙はどのように始まり、どんな仕組みで、私たちはどこからきたのか。人類誕生以来の疑問に科学の力で迫りたい」と意欲を示した。スイスの欧州合同原子核研究所(CERN)の巨大円形加速器について「暗黒物質の存在やヒッグス粒子の性質はよく分かっておらず、欧州の加速器は限界がある。調べるには、どうしてもILCが必要だ」と訴えた。

 東北ILC推進協議会の共同代表を務める大野英男東北大総長は「日本は素粒子物理学と加速器の大国で、(受け入れに)ふさわしい」とあいさつ。高橋宏明東北経済連合会名誉会長は「多方面で前進していることを実感できたのではないか。実現に向けさらに努力する」と語った。