政府の観光支援事業「Go To トラベル」で使える地域共通クーポンの利用が県内でも進んでいる。新型コロナウイルス感染症で冷え込んだ地域経済の回復へ観光関係者の期待は大きいが、十分な周知がないまま見切り発車した感は否めず、対応に戸惑う現場も。クーポンを利用できる県内登録店は5日現在約750店で対象店舗の一部とみられる。特命取材班には「仕組みが複雑」「飲食店は登録したくてもできない」と制度の不備を訴える声が届いている。

 盛岡市繋の盛岡手づくり村は同日、クーポンを手に土産物を買い求める人でにぎわった。手づくり村では1~5日のクーポンによる支払いが95万円に上った。物販を担う盛岡地域地場産業振興センター物産事業部の佐々木雷蔵さん(62)は「効果を肌で感じている」と手応えを口にする。

 一方で飲食店は困惑を隠さない。宿泊施設や土産物店、交通機関がクーポン利用の登録を済ませ恩恵を受けるのに対し、現時点では制度上、希望しても登録できないためだ。

 宿泊施設内にある場合を除き、飲食店がクーポン利用できるようになるには飲食業界を支援する「Go To イートキャンペーン」へ登録が必要。だが、県内で「イート」の登録が始まるのは今月下旬から。本県事務局は飲食店約5千店へ案内を予定する。事業の所管が国土交通省と農林水産省に分かれ、縦割りの弊害といえる状況だ。

 釜石市大町の飲食店三陸ぱすたの小菅篤仁代表(48)は「クーポンはありがたいが、なぜイートの登録が必要なのか分からない」と首をかしげる。市は8日に事務局担当者を招いた説明会を企画する。