【東京支社】日本学術会議は30日、2020年以降の大型研究計画の在り方に関する指針「マスタープラン」を公表した。焦点となった国際リニアコライダー(ILC)は学術的意義を有する「大型研究計画」に位置づけたが、より優先度の高い「重点大型研究計画」には盛り込まなかった。ただ、実現に向けた国内手続きの一つ、文部科学省の「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想(ロードマップ)」に申請する権利は確保し、誘致検討は次の段階へ進む。

 同会議は同日、東京都内で幹事会を開き、プランを承認した。応募のあった165件から、ILCなど161件を大型研究計画に選定。このうち特に優先順位が高く、速やかな推進を要する重点大型研究計画を31件選んだが、ILCは前段階の候補59件としてヒアリング実施にとどまった。

 重点計画の評価基準は学術的意義や社会的価値、緊急性や予算計画を含む成熟度など。同会議科学者委員会研究計画・研究資金検討分科会の藤井良一委員長は同日、ILCについて「ヒアリングでは科学的重要性、実現可能性が特に議論された。その中で、他の計画と比べどう重要かを分野を超えて相対評価した」と報道陣に述べた。

 文部科学省は予算措置の検討に必要なロードマップを、今夏をめどに作成する方針。申請には、重点計画またはそのヒアリング対象となる必要があり、ILCは条件をクリアした。

 同省素粒子・原子核研究推進室の樋口晋一室長は「マスタープランはロードマップの審議で参考にはするが、今の時点で何か結論が出るわけではない」と説明。昨年3月に「ILCに関心がある」とした政府見解を踏まえ「ロードマップや欧州の議論を注視していくことに変わりはない」と語る。

 マスタープランへの応募は高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)が行った。岡田安弘理事(62)は30日、取材に対し「国内の学術コミュニティーがILCの建設意義を深く理解してくれた結果で、大きな一歩だ」と評価。「実現に向けて今後は建設費の国際分担に向けた政府間交渉、研究者レベルでのさらなる準備が必要だが、日本政府としての前向きな姿勢を期待したい」との認識を示した。