盛岡市の岩手大付属小(今野日出晴校長、児童603人)の6年しらかば組は毎月1、2回、朝学習(15分間)を中心にNIEタイムを実施。記事スクラップやプレゼンを行い、「読む」「書く」「聞く」「話す」の四つの力に磨きをかけている。担任の関戸裕教諭は「活字に触れ、社会に関心を持つきっかけにしてほしい」と願う。

記事スクラップの1分プレゼン。感想や自分で考えた見出しについて説明する岩手大付属小6年生

読む速度アップ

 12月に国語の授業で行ったNIEタイムは4人一組で演習を行った。30分間のプログラムで▽記事選び(5分)▽理由・感想・見出し(15分)▽1分プレゼン(1分×人数)▽感想交流(30秒×人数)-の順に展開。

 使う新聞は11、12月の2カ月分の一般紙と子ども新聞。教室に集めた新聞の中から自由に1人1部ずつ準備した。全ページに目を通す記事選びが5分。選んだ理由から感想、見出しを書くまで15分。回を重ねるごとに少しずつ短縮し、読み書きのスピードアップを図ってきた。

 記事選びの5分間、「ざっと読もう」と繰り返し呼び掛けた関戸教諭。「限られた時間でより多くの文章を読み、要点をつかんで、考えをまとめられるようになってほしい」と将来を見据える。

 児童は素早く紙面をめくりながら興味を持った記事を1本選んだ。新国立競技場完成、メジャーリーグ挑戦、iPS細胞で再生医療、スター・ウォーズ完結…スポーツから医療、映画までさまざまなことに関心を寄せている。スクラップした記事の周りに記事を選んだ理由、感想、見出しを書き込んで完成させた。

プレゼンに共感

 「水谷・伊藤選手あと一歩とどかず」「培養肉で資源を守れ!」「安倍内閣崩れるか!?」「犬は2歳で人間の中年!」。自分の言葉で短く分かりやすくポイントを伝える見出し。感じるままに素直につけた見出しは生き生きしている。

 グループでプレゼンが始まると、メンバーは笑顔で友達の発表を受け止め、何度もうなずきながら熱心に聞く。「自分と違う視点で勉強になった」「色使いが見やすかった」。スピーチやスクラップの良いところをたくさん見つけて伝え合う。

 キーワードは「共感」。NIEタイムは「エンカウンター」(本音を出し合い、互いの意見を認め合う)の体験の場になっている。関戸教諭は「共感的に聞いてもらうと安心して話せる。NIEはレクリエーションの要素もあり、学級づくり、仲間づくりにも役立つ」と力を込める。


学びをより深く堅実に

菅野亨副校長に聞く

 県NIE協議会副会長を務める菅野亨副校長にNIEの意義や活動の様子などを聞いた。

「どの記事が面白かったかな」。新聞コーナーで教師との会話を楽しむ児童

 岩手大付属小は現在、一般紙5紙、子ども新聞2紙を購読。月数回、朝の15分間、新聞に親しむ「のびのびタイム」を実施している。記事を読んだり、切り抜いたり、要約や感想を書いたり、発達段階に応じてテーマを考えた取り組みだ。

 校内の1階と2階の廊下には新聞コーナーを開設。新聞委員会が中心となっていつでも手に取って読める環境を整えている。読んで終わりではなく、コミュニケーションも大切にする。

 新聞コーナーには教師も時々顔を出す。紙面を広げていると「何を読んでいるの」と子どもたちが近寄ってくる。「こんな記事が載っているよ」と伝え、子どもたちと一緒に読む。中には感想を話し出すと止まらない子もいる。子どもの興味は何から火がつくか分からない。新聞をきっかけに子どもの世界が一気に広がることもある。

 小学校は社会に関心を持つ種まきの時期。大人が興味関心を縛らず、ハードルを下げて、もっと知りたいと思う気持ちを大事にしたい。意欲が引き出されると、自然に自分から調べたり、考えたりする。

 読み終えた新聞は授業で活用する。スクラップの台紙は大きくて丈夫なスケッチブックを使っている。どんなことに関心を持っていたか、後で振り返るのも面白い。

 教科書に載っているのは、たいてい「過去」のことだ。新聞には岩手や日本、世界の「今」が詰まっている。新聞には多くの「出会い」がある。教科書に書いてあることと、実際の生活をオーバーラップさせることで、学びがより深く、堅実なものになる。新聞がもたらす新たな可能性は計り知れない。

(談)