リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

瀬川瑛子さん第2回(全4回)

 
桜とカタクリが共演する西和賀の春

 西和賀に来て木々の名前を覚え始めたのは、冬でした。葉っぱのあと(葉痕)や冬芽を見て、繰り返し名前を聞き、木を覚えたつもりで春を迎えました。ところが「あれ?この木は誰だっけ?」。芽吹いた木の急な成長ぶりに戸惑ってしまいました。冬芽や葉痕はどこへやら、花や葉っぱが盛りです。冬芽、花、実、葉っぱ、紅葉…一年を通して、ようやく一つの木の全体像がわかってきました。

 また、春に木が芽吹く頃、足元ではフクジュソウ、カタクリ、ニリンソウ(ほか数えきれないほど多数!)の草花が週替わりで咲き乱れていました。その賑やかさは目まぐるしいほどで、西和賀のあちこちに出かけては、満開の花を堪能しました。

 こうして少しずつ、植物や昆虫や動物のことを学んでいます。20代の頃は海外旅行が好きでしたが、去年の春、足元の花や生きものの移り変わりを追いかけながら「ああ私はまったく世界を知らなかった!」と思いました。自然を見る解像度が上がると、山や森が鮮やかに匂い立つから不思議です。西和賀の先人は、自然から学び、恵みを享受してきました。その文化は土地のアイデンティティともいえて、今後ますます希少価値になるように思います。

今月の人 瀬川瑛子さん
2019年、西和賀の自然が魅せる一瞬の煌きを伝えるべく、任意団体「ネビラキ」を夫婦で設立し、スノートレッキングなどの体験ツアーを企画。過去の勤務歴は農林水産省、和食店、東北食べる通信編集部など。
https://www.nebiraki.world/