8年ぶりの舌戦となった知事選は、現職の達増拓也氏が4選を果たした。無投票の前回と異なり、県政の継続を望む民意が示された。

 達増氏は県政トップとして東日本大震災を経験し、「危機を希望に変える」と訴え続けている。今回の勝利は、復興を進めた8年の歩みが評価されたと言える。

 敗れた新人の及川敦氏は、達増氏が野党に支えられることへの批判を強めた。国政与党の自民、公明両党の推薦を受け、国や市町村とのパイプ役になると訴えた。

 しかし達増氏の「幸福を守り育てる」に対し、目指すべき新たな岩手像を示せたとは言えない。敗因は複数あろうが、参院選岩手選挙区に続き連敗した自民勢力の立て直しは一段と険しくなった。

 4期目に臨む達増氏は、前任・増田寛也氏の3期を超える。同じ中央官僚出身で、同じく小沢一郎衆院議員に見いだされて政治家になった両氏は共通点が多い。

 だが初めは野党色が強かった増田氏は、やがて自民を含む各党と「等距離」に転じた。一方の達増氏は今回、4野党の推薦を得て野党「結集」の象徴であり続ける。

 そうした政治スタンスは、国との意思疎通を巡り懸念が付きまとう。選挙戦でも及川氏陣営や、同時に投票が行われた県議選の自民候補らから批判が浴びせられた。

 知事と政権の関係がぎくしゃくしていないか。達増氏に投票した有権者も、少なからず気に掛けているに違いない。4期目は、不安を拭い去る実績が求められる。

 もとより達増氏が唱える「結集」は野党だけではなかろう。行政、企業や団体、そして地域に暮らす県民の結集を意図しているはずだ。

 今後の岩手は難題が待ち受ける。震災復興を成し遂げるとともに、国際リニアコライダー(ILC)誘致を実現させる。そして人口減に立ち向かわねばならない。

 地方からの人口流出について達増氏は、国の政策、地方の努力、民間の投資を合わせればゼロにできると語った。市町村とも今後、さらに連携を深める意欲を示す。

 政策実現に向け、多くの力を集める。まさに「結集」の重要性を説いた形だ。とりわけILC誘致では、対立する政治勢力の力も結集させる度量と手腕を望みたい。

 歴代知事で4期は千田正氏だけで、5期務めた人はいない。達増氏も初当選時に「原則2期8年」と多選はしない公約を掲げたが、震災を受けて撤回した経緯がある。

 知事としての締めくくりをどうするか、自身も意識していよう。通算16年にわたる4期目は、「結集」による力を成果の「結実」に導く時だ。