平和憲法下の日本の国会議員が、戦争を言い立てるのは妥当なのか。NHKから国民を守る党の丸山穂高衆院議員が、またもや「戦争発言」で物議を醸している。

 発端は、韓国国会議員団による8月末の島根県・竹島への上陸だ。竹島は日本が領有権を主張する中で、韓国が実効支配している。

 丸山氏は日本政府の抗議を念頭に、自身のツイッターに「政府もまたまた遺憾砲と。竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね? 戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」などと書き込んだ。

 5月には、ロシアが実効支配する北方領土の交流訪問団に参加した際、酒に酔った状態で戦争によって領土を取り戻すことの是非に言及。当時所属していた日本維新の会を含め、与野党から一斉に批判を浴び、発言を撤回して謝罪した経緯がある。

 女性に侮蔑的な言動も明らかとなり、衆院は「人間としての品位」にも言及して「国会議員の資格はない」と糾弾決議を可決。実質的な辞職勧告だが、同氏は拒否し続けている。維新を除名され、無所属となった同氏に手を差し伸べたのがN国だ。

 舌の根も乾かぬうちの問題発言に、立憲民主、国民民主など野党5党派は衆院議院運営委員会での事情聴取を求める方針。前回も出席を求めたが、丸山氏は病気を理由に聴取に応じなかった。

 同氏は「言論封殺の圧力には屈しない」などと反論。N国の立花孝志党首は「丸山氏が何罪を犯したのか」と擁護するが、事は議員としての倫理に関わる問題だ。戒めるのが政党としての筋だろう。

 選挙で選ばれた国会議員の政治活動が最大限に尊重されるのは、議会制民主主義の要諦に違いない。だが、その立場で平和的な外交努力による紛争解決を否定し、戦争をあおる姿勢を繰り返し示すことが、国民の代表にふさわしい態度とは到底思えない。

 菅義偉官房長官は記者会見で、今回の丸山氏の言動への見解を問われ「政府としてコメントは差し控えたい」と述べるにとどめた。

 北方領土を巡る前回の発言には「日本は憲法で戦争を放棄している」として「誰が聞いても不適切な発言」「政府見解とは全く異なる」と強い調子で批判していただけに、冷めた印象は否めない。

 もっとも自民党の二階俊博幹事長は「論外」と一蹴。政府にも語るに落ちるとの判断があるのかもしれないが、日韓関係が最悪の時でもある。クールに過ぎる対応は、内外に要らぬ誤解を与えよう。

 「戦争しかない」などと、国会議員が言うことか。改めて「国是に背く」と厳しく対処してもらいたい。