風疹患者の増加が止まらない。昨年夏に始まった流行は首都圏を中心に続き、今年の患者報告数が2100人を超えた。成人男性が圧倒的に多い。ワクチン空白世代といわれる40~57歳の男性を対象に抗体検査と予防接種が実施されており、確実な対応で拡大を食い止めたい。

 公費の対象となっているのは、1962年4月2日~79年4月1日生まれの男性。度重なる制度変更のはざまにあって風疹の定期予防接種を受ける機会がなく、十分に免疫のない人が他の世代に比べて多い。

 国立感染症研究所のまとめでは、今年の報告患者の95%が成人。このうち約8割を男性が占め、30~40代が目立つ。一方の女性は、20~30代に多いことが気掛かりだ。

 というのも、妊娠20週頃までの妊婦が感染すると、心臓や目、耳などに障害を持つ先天性風疹症候群(CRS)の子どもが生まれる場合がある。国内では、今年に入ってから男児3人がCRSと報告された。

 風疹は、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)に含まれるウイルスにより感染し、2~3週間の潜伏期間を経て発熱や発疹、リンパ節の腫れといった症状が現れる。まれに脳炎などの合併症を引き起こすケースもあるが、子どもは比較的軽くすむ。大人がかかると症状が重くなる傾向という。

 CRS発生を防ぐためにも、とりわけ妊娠出産年齢の女性を取り巻く対応が急がれよう。空白世代の男性に対しては市町村から順次、受診券が届く。速やかな抗体検査と、結果に応じたワクチン接種が求められる。

 しかし、働き盛りの年代でもある。医療機関に足を運ぶのを負担に感じる可能性もあり、職場での積極的な働き掛けが必要だろう。

 厚労省は企業に対して、受診への配慮や予防接種記録の確認などを呼び掛けている。職場の健康診断と同時に抗体検査できる仕組みを整えることも有効策の一つだ。

 県内企業の中には、公費実施とは別に、さらに下の世代の男女従業員に対象を広げるところもある。ワクチン接種率が低いとみられる世代で、検査と接種費用負担を決めた。職場全体で感染リスクを下げる、こうした取り組みを広げていきたい。

 政府は、2020年度までの風疹排除を目標に設定。東京五輪・パラリンピックに向けては、大会関係者に予防接種を徹底するなど対策を強化している。

 風疹はワクチン接種で予防できる感染症だ。未来を守る責務と考えよう。妊婦や妊娠を希望する女性、そのパートナーだけの問題ではないのだから。