従来の大学入試センター試験に代わり、現在の高校2年生が対象の2020年度入試からスタートする大学入学共通テストに導入される英語民間検定試験の準備状況が、極めて心もとない。

 文部科学省は、情報不足を訴える高校現場の声を受けて先ごろ、8月1日時点の関連情報を集約した「大学入試英語ポータルサイト」を公開。大学側も民間の試験実施団体も、態勢が整わない現状が浮き彫りとなり、逆に受験生の不安をあおる格好となった。

 民間試験の利活用は各大学に委ねられているが、調査対象となった全国の国公私立大計757校の約3割で、利用の有無が未確定。利用するにしても出願資格とするか、大学入試センター作成の試験に加点するのか、活用法が決まっていない大学も多い。

 民間試験の申し込みは、最も早くて今月スタート。一方で、詳細な試験日程を公表していない実施団体もある。

 生徒の居住地や経済状況などの違いで、受験の機会に不平等は生じないのかどうか。同じ英語力を測るとはいえ、目的も尺度も異なる複数の民間試験を、単一の基準で比較できるのかどうか。

 こうした懸念から、6月には大学教員らが8千人の署名を伴って民間試験の利用中止を国会に請願。7月には「TOEIC」の運営団体が、事務処理の複雑さを理由に撤退するなど、新たな試験制度を巡る混乱が顕在化した。

 英語民間試験は、センターが認定した6団体が実施する7種類の試験を活用。高校3年の4~12月の間に受験した最大2回分の結果を、「CEFR(セファール)」という英語力の国際指標に当てはめて6段階で評価する。

 スコアは個人IDで管理。入試センター経由で出願先の大学や短大に提供されるという。だがセファールと成績をどう対応させるかは、各実施団体それぞれの手法に委ねられる。相互に公正さを担保する仕組みは見当たらない。

 試験会場が大都市圏に集中する可能性も指摘される。地方在住者には試験選択の幅が狭まる懸念があるほか、受験料も試験によって幅がある。

 7月下旬に、民間試験の問題点を列挙する異例の要望書を文科省に提出した全国高等学校長協会の荻原聡・東京都立西高校長は、サイト公表を受けてなお「来年4月に始められるとはとても思えない」と厳しい口調で語る。

 北海道大や東北大など、公平な受験態勢の確立には時間を要する-などとして早々と今回の利用を見合わせた大学もある。実施が目的化して受験する側の都合が置き去りになっていないか。状況によっては実施の可否が厳しく問われそうだ。