南海トラフ巨大地震の発生で大きな被害が想定される高知県。同県の南国市には、世界各地の深海地下から集められた「コア」を保管する高知コアセンターがある

▼コアとは海底にパイプを突き刺して採取した堆積物や岩石などの柱状資料。施設は高知大の海洋コア総合研究センターと海洋研究開発機構の高知コア研究所が共同運営。国際深海掘削計画に基づき採取された資料を保管する世界3カ所の一つ

▼地層の組成を知ることは地震のメカニズム解明につながる。科学掘削船「ちきゅう」が昨年10月から今年3月まで、紀伊半島沖の南海トラフ付近で地下5200メートルを目指し作業していた

▼これまでで最も深い海底下3262メートルに到達したが「地震の巣」と呼ばれる地点には届かなかった。「地震波と、そこに何があるかということとの相関がつかめれば、さまざまなことが分かる」と調査に携わった同機構の廣瀬丈洋主任研究員は期待する

▼福島第1原発事故を巡り東京電力の旧経営陣3被告に無罪を言い渡した先日の東京地裁判決は、国の地震予測「長期評価」の信頼性を否定し大津波は予見できなかったとした

▼30年以内に南海トラフ巨大地震が発生する確率は70~80%という。「私たちに託された使命はその前に何が起こるかを解明すること」と広瀬さん。科学者の熱い言葉が頼もしい。