「私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」。怒りに声を震わせた少女の訴えは、居並ぶ各国指導者らに響いたのだろうか。

 地球温暖化が深刻さを増す。ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで、スウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんが対策強化を求めて演説した。授業をボイコットして議会前で座り込むなど、「学校ストライキ」を世界中に広げる火付け役となった。

 不安やいらだちを募らせた若者らは、日本を含む世界各地で一斉抗議活動を行った。150カ国以上で約4百万人が参加したとみられる。盛岡でもメッセージボードを掲げて行進した。

 気候変動の脅威は、身近に迫っている。2020年に本格始動する国際枠組み「パリ協定」は、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えるのが目標だ。

 先進国、途上国の区別なく全ての参加国がそれぞれ定めた対策を講じる。しかし、高温や豪雨など、温暖化との関連が指摘される異常気象が各地で相次ぐ。速いペースで進む温暖化に、一段の取り組み強化が求められている。

 危機感を強める国連のグテレス事務総長の呼び掛けで実現したサミットでは、77カ国が50年までに実質ゼロにする長期目標を表明。ほかの70カ国は当面の目標を引き上げるとした。

 一方、パリ協定から離脱表明している米国のほか、中国やインドは新たな目標について明示せず、排出大国の動きの鈍さが際立つ形となった。

 石炭火力発電を堅持する日本への批判も根強い。政府の長期戦略では今世紀後半のできるだけ早期の排出ゼロを掲げるが、「50年ゼロ」を目指す国々との隔たりは大きい。

 サミットで日本が演説する機会もなかった。環境関連会合で日本の取り組みを披露した小泉進次郎環境相は、気候変動問題について会見で「楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と語った。アピール力は否定しないが、少女らの訴えに比べてあまりにも貧弱だ。

 今や環境運動の象徴的存在となったグレタさんに対する反発もやまない。議論にもならない中傷は、本人が反論する「論点のすり替え」にほかならないだろう。

 温暖化対策にもはや猶予はなく、人類共通の危機に国際社会が足並みをそろえて対応しなければならない。各国の取り組みにズレがあっては十分な実効性も望めない。

 グレタさんの後ろに大勢の若者、子どもたちがいる。その未来を奪わないように、行動すべきは大人だ。