キックオフの約40分前。釜石鵜住居復興スタジアム西側スタンドを埋めた、釜石市の全小中学校14校約2200人が突如立ち上がり、歌いだした。

 ラグビーワールドカップ(W杯)の試合日に復興支援への感謝を世界に伝えようと、市を挙げて練習してきた合唱曲「ありがとうの手紙♯Thank You From KAMAISHI」。ウルグアイ、フィジー両国の選手や約1万4千人の観客を前にアカペラでメロディーを奏でた。

 震災後の経験を基に、市内の児童生徒から詞を募って集約した一曲。2200人がスクラムを組むように重ねた歌声は、鵜住居の町に響いた。市によると、秋篠宮妃紀子さまも関心を持ち、歌詞カードを受け取られたという。

 W杯組織委は当初、運営上の都合などとして試合前後のセレモニーに合唱を盛り込まない方針だった。県と市による釜石開催実行委は披露の場を設けるよう要望。24日夜にようやく、復興支援の感謝を伝える旗の入場に合わせ、合唱音源を流すことがかなった。

 子どもたちはアカペラで歌った後、音源に乗せて両国の旗を振りながら、再び歌声を弾ませた。

 釜石東中3年の佐々木美砂さんは「今まで支援してくれた方に、ここでありがとうの気持ちを伝えることができてうれしい」、釜石小5年の泉沢華(はな)さんは「(震災で祖父と曽祖母を亡くし)震災から頑張ってきた気持ちを込めて歌った。緊張したけど思いは届いたと思う」とやりきった表情を浮かべた。