いよいよラグビーワールドカップ(W杯)2019が釜石にやってくる-。フィジー対ウルグアイ戦は25日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで開催。これまで「#Thank You From KAMAISHI」は、三陸にとってビッグイベントが相次ぐ2019年に、東日本大震災後の世界中からの支援に対する「ありがとう」を発信する活動として、ボランティア活動やオリジナル商品の開発、子どもたちによるおもてなし活動など、多様な取り組みを続けてきた。地域住民だけでなく、県民が一体となり、世界中の観光客らを出迎える。

きょう釜石でフィジー対ウルグアイ戦

150人がスタジアム清掃

スタジアムの座席を一席一席、丁寧に拭き上げた

 フィジー対ウルグアイ戦を前に釜石鵜住居復興スタジアムで14日、青空の下、清掃・除草ボランティアが行われた。定員を上回る応募があり、東京、大阪、青森など県内外から約150人が参加した。

 家族や友人、会社の同僚ら団体での応募も多く、和気あいあいとラジオ体操で体をほぐした。

 グループに分かれ、スタジアム内のスタンド清掃やゴミ拾い、常設トイレ清掃、スタジアム内のり面や周辺宅地の草刈りなど、清掃を開始した。

 雨風にさらされた座席の汚れをしっかりと雑巾で拭き取ったり、デッキブラシで洗い流したりと、参加者は1万6千人をきれいなスタジアムで出迎えようと、朝からお昼過ぎまで、汗を流して励んでいた。

刈り取った草を袋に詰めるボランティア

 平泉町平泉の佐川梨々穂ちゃん(6)は「スタジアムがぴかぴかになってうれしい」と笑顔を見せ、仲間4人と参加した釜石市鵜住居町の小沢厚子さん(70)は「本番は見に行けないけれど、ちょっとでもW杯の力になりたくて毎回参加している。みんなで力を合わせて一つのことに取り組むことはすてきなこと」と一生懸命に取り組んでいた。

 同ボランティアは、10月13日開催のナミビア対カナダ戦前の5日も実施する。

 

㊧常設トイレの周辺を掃除するボランティア、㊨準備運動として、ラジオ体操で体をほぐした

全9小学校が横断幕

ロシア語でありがとうの意味「スパシーバ」の横断幕を持ち、感謝の気持ちを表す白山小の児童

 復興支援に対する感謝を伝えようと市内の全小中学校が参加する「かまいし絆会議」の活動の一環。釜石鵜住居復興スタジアムで試合があるフィジー、ウルグアイ、カナダ、ナミビアのほか、復興支援を受けた国々で使われている言語を選んだ。ラグビーボール、虎舞のトラ、海の波など釜石を象徴する絵も添えた。

 同会議は、感謝を伝える歌「ありがとうの手紙#Thank You From KAMAISHI」と動画を制作。動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している動画には、歌に合わせて横断幕を持って手を振る児童や市内5中学校の生徒が歌う様子が収録されている。

▼▼▼小学生が手書きした「ありがとう」横断幕▼▼▼

右上から時計回りに、アラビア語の「シュクラン」=鵜住居小、スペイン語の「グラシアス」=栗林小、フィジー語の「ビナカ」=平田小、フランス語の「メルシー」=小佐野小、英語の「サンキュー」=唐丹小、日本語の「ありがとう」=釜石小、台湾語の「ドオシャーリー」=双葉小、中国語の「シェシェ ドーツェ」=甲子小

 釜石市内の小学校全9校は、9カ国語の「ありがとう」を手書きでデザインした横断幕を作った。25日に釜石鵜住居復興スタジアムの特設ブースで展示する。

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伝承、慰霊、交流の場に うのすまい・トモス

にぎわいを見せる鵜の郷交流館。地酒、海産物、ご当地Tシャツが並ぶほか
、住民手作りの横断幕なども掲げられている

 釜石市の三陸鉄道鵜住居駅西側に整備された「うのすまい・トモス」。今年3月から本格利用が始まり震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」、慰霊追悼施設「釜石祈りのパーク」、観光交流拠点施設「鵜(う)の郷(さと)交流館」の三つの施設が並ぶ。震災の教訓や復興の軌跡をラグビーW杯釜石開催で訪れる観客らに伝えようと、スタッフは来場を待ち望んでいる。

 いのちをつなぐ未来館では津波に飲み込まれて針が止まったままの時計、発災直後の釜石の様子をパネルで紹介。復興写真展などのイベントも随時行われている。

いのちをつなぐ未来館には、震災当時の被害に関する資料が展示されている

 釜石祈りのパークは、多くの犠牲者が出た鵜住居地区防災センターの跡地に整備。遺族の了承を得られた震災犠牲者芳名板999人分を設置したほか、防災市民憲章碑には命を守る行動を促す言葉が刻まれる。

 鵜の郷交流館には、地元産の鮮魚を取り扱う産直と食堂、土産品店、交流・飲食スペースがある。大漁旗や住民が手作りした歓迎の横断幕で彩られる。

 これらの施設は同市の第三セクター、かまいしDMC(社長・野田武則市長)が管理運営。同社の佐々学さん(40)は「これまでの復興支援に感謝の気持ちでいっぱいだ。地元が一丸となって笑顔で観光客らを出迎えたい」と力を込める。


ラグビー応援の店

 ラグビーW杯釜石開催に向け、準備万端!ラグビーW杯2019釜石開催実行委が参加を呼び掛ける「いわて・かまいしラグビー応援の店」には、県内約300事業所が登録。オリジナル商品の開発やおもてなしなど、各店舗の取り組みや思いをピックアップして紹介する。

◇思い込め手作りクッキー  洋菓子専科かめやま(釜石市)

手間暇かけて焼き上げるラガークッキーで感謝の思いを伝える亀山弘能さん

 釜石鵜住居復興スタジアムのフィールドをイメージした「ラガークッキー」を一枚一枚手作りで焼き上げ、震災支援への感謝を形にしている。

 パッケージは釜石高美術部の高木悠さん(3年)と市内のデザイナー今井のどかさんが共同制作。ラグビー選手や観客の熱気あふれるデザインに仕上げた。箱を開けるとイラストとともに「ありがとう」の思いが英語で伝わるように工夫した。

 店主の亀山弘能さんは「若い人と力を合わせて形にできてうれしい。ラグビーはあきらめず後ろの人にボールをつなぐ。まちづくりも一緒だ。大量生産ではないので待たせてしまうが、スタジアムがある限り作り続ける」と前を見据える。

◇釜石のファン増へ案内所  ホテルマルエ(釜石市)

特製の観光案内所を紹介する小林潤支配人

 施設内の多言語化に力を入れている。ロビーに英語、中国語などに訳された観光パンフレット約20種類を並べた特製の観光案内所を設置。

 市内で撮影した神社のほこら、海に面する断崖絶壁、復興モニュメントなど“外国人受け”を狙った写真約40枚も一緒に飾る。

 受付には英語仕様のパソコンと50言語以上に対応する通訳機2台を用意している。エレベーター、浴場の入り口周辺には多言語化した案内板も置く。

 小林潤支配人は「外国人一人一人におもてなしの精神をPRし、釜石のファンを増やしていくことが地元の活性化につながる」と意気込む。