人口減少が進む県内各地で路線バスや鉄道など公共交通の維持が課題となっている。地域の暮らしを支える重要な基盤だが、その利用客は減少傾向が続き、運転士ら人材不足も重なる。路線の減便や廃止によって、生活の足が細りゆく状況に危機感も高まる。

 昨年の県民生活基本調査によると、通勤・通学や買い物、通院などで日常的にバスや列車を利用するのは2割にとどまった。ほとんど利用しないと答えた人からは「マイカーの方が便利」との声が圧倒的。便数が少ない、自宅から駅やバス停が遠いなど、もっともな理由が連なる。

 不便だから乗らない。乗らないから路線の採算が取れず、減便などでますます利用減が進む。まさに負のスパイラルだ。2010年度時点で827あったバス路線は、17年度までに1割に相当する89路線が減ったという。

 路線バスに代わって住民の移動手段を支えるため、コミュニティーバスやデマンド交通を運行する市町村もある。が、その維持もたやすいことではない。

 紫波町では、運行業務を委託するバス会社の運転手確保が困難になり、代替手段を検討。予約に応じて運行するデマンド型乗り合いバスの実証実験を来月実施する。

 バス業界の人手不足は深刻さを増している。この中、県内のバス事業各社は、入社後の免許取得を支援するなど若手運転士の育成にも力を注いでおり、着実な取り組みを期待したい。

 地域事情に応じた対策に向け、県は地域公共交通網整備計画を策定した。持続可能な公共交通ネットワーク構築のため県や市町村、交通事業者ら、それぞれの役割分担と連携強化が一層求められよう。

 利用する県民一人一人の意識醸成も肝心だ。22日には盛岡市内で「バスの日まつり」が開催。同日から、バスや鉄道の利用を促す「公共交通スマートチャレンジ月間」(10月20日まで)も始まった。

 二酸化炭素排出量を削減して地球温暖化を防ぐ観点からもマイカーなどとの上手な使い分けや、エコドライブを心掛ける機会にと提案する。

 過ごしやすい季節だ。無理のない範囲でバスで通勤したり、歩く距離を増やしたりすることが体力づくりにも役立つ。県内の事業所や個人で、できることから取り組んでみてはどうだろうか。

 一方、高齢者の運転免許証返納も増えており、外出をサポートする足の確保は急務。住民ニーズはもちろん、観光動向などを踏まえ、より効果的な利用促進策を練る必要もあろう。持続可能なまちづくりと共にある公共交通の可能性について、議論を身近なものにしたい。