「障害者差別をなくすために『障害は個性』と学ぶ授業を」「県産リンゴの知名度アップへキャラクターをつくる」。盛岡市津志田の見前中(菅井雅之校長、生徒545人)の「社会の課題発見・解決を目指す特別授業」。3年生189人は岩手日報の記事から古里に目を向け地域課題を探ることで考える力を培った。

 特別授業は、新聞を読み「世の中を考える」きっかけをつくり、「考える力」「答えを見つける力」「世の中を広く見る力」を育成することが目的。14日、同校で行われた。大手企業のテレビCMを担当した講師の電通第1プランニング局HRMディレクター・野沢友宏さん(46)は、顧客が抱える課題の解決に向けアイデアを練る手法を紹介し「シンプルに考えることが大切」とアドバイスした。

 ▽若い感性光る提言

岩手日報の記事を読み、地域の課題を探る見前中3年生

 地元の社会的課題を地域活性化、ダイバーシティー(多様性)、少子高齢化の3テーマに分け▽生産量全国2位の県産リンゴの認知度不足▽障害者差別の解消▽市内循環バス「でんでんむし」の減便-など6本の記事を基に解決策を考えた。

 生徒は記事を読み課題を設定。▽なぜそうなっているのか(原因分析)▽どうなるといいのか(目標設定)▽課題の本質▽解決方法・アイデア-をさまざま考え検討シートに書き込んだ。

 テーマが共通する約10人のグループで意見交換。県産リンゴのPR方法については「人気タレントを起用したテレビCM」「清涼飲料水とのコラボ」などを提言。障害者差別の解消では「『障害は個性』と学ぶ授業」「障害者の特技を披露する場を設ける」と若い感性が光った。

 ▽「思いやり」の練習

地域の課題解決に向け意見を交わす生徒

 野沢さんは「新聞を読むことは情報を上手に集め、自分の頭で考える練習になる。幅広い視点が身につき、相手の立場になって考えられるようになる。思いやりの練習と考えてほしい」と効果を説いた。

 同校は社会を把握する能力を育てるキャリア教育に取り組む。NIE担当の門屋なつみ教諭は「地域に開かれた教育を目指し方法を模索していた。生徒が主体的に考え、深い学びを実現できるプログラムだった」と手応えを感じていた。


思考力、判断力、表現力を培う

 課題検討シートは、6項目で構成。新聞で地域社会を知り、思考力、判断力、表現力を養う仕組みだ。

 まず、新聞を読み、「これは地域の課題」と感じた記事を読み解き、一言で記入する。

 次は「なぜ、そのような状況になっているのか」、課題の背景を考え、原因を分析。背景が見えたら「どんな社会になればいいのか」、課題を克服した先の理想の姿を目標として設定する。原因と目標が明らかになったところで、課題の本質を考える。

 最後は、課題の解決方法とアイデア。アイデアは思いつくものを全て記入。ハードルが高いと思ってもたくさん書き出すのがコツだ。その中から解決方法をグループで話し合い、発表する。


運転手確保へバス体験会 生徒提言

市内循環バス減便の解決方法を検討したグループ

 生徒たちは16グループに分かれ、課題について意見を交換し、検討シートをまとめた。佐々廉武(れん)さんが代表を務めたグループは、盛岡市内循環バス「でんでんむし」が3割減便となった記事を使い、解決策を探った。

 減便の原因を「運転手の確保ができない」と分析し課題の本質を「運転手になるきっかけが必要」と考えた。解決策として「バス体験会」の企画を提言した。

 子どもを対象にバスをPRし、将来の担い手確保を目指すシンプルなアイデアが光った。「バスの魅力を伝えるツアー」や「キャラクターのマスコット作製」も盛り込んだ。佐々さんは「循環バスは地域にとって大切な存在。みんなで意見を出し合い、いいアイデアができた」と振り返った。

㊧市内循環バス減便の解決方法を考えた「課題検討シート」

考えの幅広げる新聞 上路 裕星(じょうじ・ゆうせい)さん

 障害者差別の解消を地域課題として取り上げた。新聞記事には、テレビでは分からないことが書かれていて考えの幅が広がる。障害者差別解消法や知的障害について、教科書への掲載や小規模なパラリンピックプロジェクトを提言でき、新聞記事を基にした特別授業は楽しかった。

地域課題知るツール 川村 こころさん

 少子高齢化の問題を考えた。テレビでニュースは見ているが、ななっくの閉店やでんでんむしの減便は、新聞を読み初めて知り「困る人が出るだろう」と思った。新聞は地域の話題をつかみ、課題を考える私たちの大切なツールだと感じた。これからは注意深く新聞を読んでいきたい。