2020年度から始まる大学入学共通テストは、導入される英語民間検定試験を巡って教育現場が揺れている。そして、高校の教科に関して波紋が広がっているのは英語だけでない。国語についても関係者から懸念の声が出ている

▼共通テスト第1回試行調査問題の記述式は、生徒会の規約を題材に資料を読み解く内容。戸惑う高校生は多かったようだ。そして、22年度の新入生から適用される新学習指導要領では、実用性重視に転換される

▼研究者らの危機感は「文学界」9月号の特集「『文学なき国語教育』が危うい!」のタイトルに如実に表れている。「理系教育にも文学は必要だ-物理学者と数学者に聞く」など多面的に文学の重要性を訴える

▼「国語と文学」について論争の行方を見守りたい。さて、読書の秋だ。秋の夜長、文学に親しみたい。ベストセラー、話題の本、好きな作家…。あるいは国語の教科書などで親しんだ名作の再読はどうだろうか

▼平野啓一郎さんは、著書「本の読み方」で再読の価値を説く。「一冊の本とのつきあいは、決して一期一会ではなく、もっとずっと長いものである」。また、本の読み方の極意は「ゆっくり読むこと」だという

▼例えば宮沢賢治の作品群などは、まさに再読の味わいが深いのではないか。きょうは賢治忌。じっくり向き合ってみようか。