「秋サンマ」が本州トップを切って大船渡市の魚市場に先ごろ水揚げされた。秋の食卓を彩る味覚が楽しみだ。

 その少し前に同市で開かれた水産イベントでは、恒例の生サンマの提供が間に合わなかった。待望の水揚げで、浜に活気が出ることを願う。

 ただ、魚体は小さく、漁獲量はまだ少ない。そして不漁が予想されている。漁業者は期待の一方で不安も抱えているだろう。

 サンマ漁は近年、厳しい状況にある。

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)の統計では、2008年は約34万トンと30年間では最も豊漁だった。しかし、ここ数年は大きく落ち込み、17年は8万トンを割る記録的不漁に。昨年は約12万トンとやや持ち直したが、低水準にとどまった。本県も同様の傾向にある。

 サンマ不調の原因には大きく二つが挙げられている。一つは台湾、中国など外国の消費拡大に伴う乱獲による資源の減少。もう一つは日本沿岸の海水温が上昇し、漁場が遠ざかっていることだ。

 乱獲防止を巡っては、国際的な漁獲枠が初めて来年から導入されることになった。8カ国・地域による北太平洋漁業委員会の合意では来年、約55万トンを上限とする。

 また、日本は「先取り」する台湾、中国に対抗するための措置を今年からスタート。水産庁は従来の8~12月限定を改め、公海については通年操業を許可。5月から出漁が始まった。

 ただ、5~7月の「早取りサンマ」の漁獲は想定の6割程度にとどまった。漁場が大きく東側に移動し、遠くなっていたという。

 来遊に影響を及ぼす海水温の変化の一因には地球温暖化があろう。温暖化対策は世界の多くの分野にまたがる。

 漁業関係者がなすべきは資源管理だ。漁獲枠導入は一歩前進だが、今回は合意を優先したため、上限は18年の漁獲実績を超えており、実効性は不十分だ。

 今後、効果の高い制限とするには、全体の漁獲量削減に加え、国・地域ごとの規制を導入できるかにかかる。日本をけん引役として、国際的な理解の深化が待たれる。

 「安くて、うまい」のがサンマの魅力。ただ、漁獲が少なかったり資源管理で抑制されれば、価格は変動する。その点を消費者が理解し、受け止めることも大切だろう。厳しい中で操業する漁業者を支えるのは消費者の役割だ。

 かつては北海道であふれるようにいたニシンが激減。現在はウナギが絶滅の危機にある。これらの教訓は水産資源管理の重要性を伝える。未来に向けた計画性や我慢が問われる。