旧民主党が政権に就いたのは2009年9月のことだ。3人の首相が入れ替わる間、失政に内紛も先鋭化して急速に支持を失い、公約になかった消費増税などを巡ってついに分裂。3年3カ月で再び自民党に政権の座を譲った。

 以後、旧民主勢力は離合集散の末、立憲民主党と国民民主党などに分裂。歴史的政権交代から10年の節目に再び結集しようとするのは、巡り合わせというべきか。

 両党は、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」を含め衆参両院で旧民主勢力の会派合流を目指す。方向性がまとまったのは8月20日。幹事長レベルで合流後の会派役員などの協議を進め、当初は同月内の設立を予定した。

 だが交渉は難航。トップ同士で事態打開を図るべく17日に組まれた代表会談は、今日19日に延期された。要は両党の主導権争い。再会談の行方は依然、予断を許さない。

 「内紛」の溝の深さをうかがわせる現状は、政権交代前夜の熱気には程遠い。安倍内閣の再改造を、野党は「期待感も高揚感もない」と酷評したが、合流の動きに対する世論の反応も「遠からず」と言わざるを得まい。

 内閣改造直後の共同通信の世論調査で、内閣も自民党も支持率が高まる一方、立憲は10%、国民1・5%とほぼ横ばい。国民は発足間もないれいわ新選組の3・4%より低い。両党が同系ゆえの恩しゅうにとらわれる間に、野党支持層の流動化は加速した。

 今回の合流協議の発端にはれいわやNHKから国民を守る党の台頭がある。永田町では年内の衆院解散の可能性も口の端に上る。このままでは戦えないという危機感が、合流の尻をたたいているのは想像に難くない。

 だが、そうした直接的な思惑が見えすぎれば「選挙目当て」との批判は免れまい。一度は政権を担った旧党の血を引く二大野党がよって立つ合流の足場は、政権への意欲であるべきだろう。内向きの事情で協議が長引く現状から、その熱意は伝わらない。

 両党それぞれに秋波を送るれいわは、共産党が提唱する野党連合政権構想に理解を示す。立民、国民とも共産を含めることには消極姿勢だが、会派合流の合意では「それぞれの立場に配慮」などと憲法や安全保障、原発など主要課題のすり合わせに棚上げムードが漂うのは迫力を欠く。

 世論調査によれば、現政権の安定は「ほかに適当な人がいない」ことと背中合わせ。強力なリーダー不在を露呈するような取り決めに、国民の期待は高まるだろうか。

 世論に潜在する変革への欲求に応えようとするなら小事にこだわらず、もっと大局を見据えるべきではないか。