先輩職人の助言を受けながら南部鉄瓶の製作に励む長坂海翔さん(手前)と石杜広平さん(奥)

 南部鉄器製造・販売のタヤマスタジオ(盛岡市向中野、田山貴紘社長)は、若手職人が製造工程の全てを手掛ける南部鉄瓶「あかいりんご」を発売した。伝統工芸士の高齢化が進む中、若手職人に活躍の場を広げ、担い手確保や伝統文化の継承につなげる。

 同社が2017年から展開する自社ブランド「kanakeno(カナケノ)」の新商品として8月に販売。表面につやを浮かべ、ふたにヘタをあしらうなどリンゴのような見た目が特徴。直径14センチ、高さ22センチ、容量約1・0リットル、重さ1・3キロ。IHクッキングヒーターでも利用できる。

若手職人が手掛ける新商品の南部鉄瓶「あかいりんご」

 赤(税抜き3万6千円)、黒(同)、茶(税抜き4万円)の3色。通常の半額ほどの価格設定で、消費者の需要にも応える。

 南部鉄瓶は材料の確保・準備、型作り、鋳込み、仕上げ加工、着色の5過程からなり、工程は約100に及ぶ。通常10~15年ほどの下積みを積んだ職人でないと全工程を担えない。

 自らも職人の田山社長(36)は「現在の仕組みでは若手職人の成長に時間がかかる」と危惧。先輩職人が監修役として指導しながら、若手が全工程を担える環境を用意した。

 商品は盛岡市中ノ橋通に8月オープンした飲食店「お茶とてつびん engawa(えんがわ)」で展示中。注文、問い合わせは店頭か、同社ホームページへ。