希望しても認可保育所などに入れない待機児童が2年連続で減少した。政府は2020年度末までにゼロにする目標を掲げており、受け皿整備が進む。しかし、潜在的な需要はなお多く、解消に向けては道半ばだ。

 厚生労働省によると、待機児童は今年4月1日時点で1万6772人となり、昨年より3123人減った。集計の定義が何度か見直されているため単純に比較できないが、調査を始めた1994年以降で最少という。

 都市部に集中する傾向は変わらず、東京都世田谷区の470人が最も多い。首都圏と近畿圏、その他の政令市、中核市で全体の約6割を占める。都道府県単位では6県でゼロで、本県は175人(前年比30人増)となった。

 ただ、見逃せないのが「隠れ待機児童」の存在だ。特定の施設だけを希望しているといった理由で集計にカウントされない。保護者が求職活動を休止している場合なども該当。こちらは6千人増えて7万4千人に近い。より実態に即した数字といえるだろう。

 少子化にあって保育ニーズが高まる背景に、子育てしながら働く女性が増えていることがある。25~44歳の就業率は年々上昇し、18年は76・5%。保育施設への入所申込者も増える一方で、昨年と比べて7万2千人増加している。

 就業率80%に対応するため政府は、20年度までの3カ年で約32万人分の受け皿確保を急いでいる。16年度には切り札として企業主導型保育事業が始まった。参入が相次ぎ、3年間で約8万6千人分が確保されたが、制度を巡るほころびも顕在化している。

 10月からは幼児教育・保育の無償化がスタート。需要がさらに高まることも予想されている。

 しかし、保育士不足は深刻で、「質」の確保は大きな課題だ。子どもの命を預かる責任の重さや労働に見合う待遇改善を進める必要がある。資格はあっても働いていない潜在保育士の就業を促す取り組みにも一層力を入れたい。

 保活を乗り越えても、自宅や職場から遠かったり、きょうだいで別々の施設に預けざるを得ないといったケースも聞く。子どもは集団生活の中で体調を崩すことがある。急な迎えや、仕事を休めない時の病児・病後児保育などサービス拡充を望む声も強い。

 育児に限った話ではない。介護や病気を抱えながらも従業員が働き続けられるよう、企業の両立支援は今や待ったなしの状況といえる。

 厚労省は待機児童解消に向けて、問題を抱える自治体への支援強化に乗りだす。数字の背景にある多様なニーズに耳を傾け、安心して働ける環境づくりを加速させたい。