「選挙ポスターは1枚2千円以上する場合もあると聞きました。なぜそんなに高いのですか」。広島市南区の会社員男性(44)が中国新聞社(同市)の編集局に疑問の声を寄せた。同社の取材で、サイズやデザインがほぼ同じでも、候補者により価格差が大きいことが判明。本紙特命取材班も取材し、本県でも大きな価格差が明らかになった。ポスターは公選法に基づき税金で賄われており、実勢価格に合っているか検証が求められる。

 8月25日に投開票が行われた盛岡市議選では、定数38に44人が立候補。選挙の掲示板には、ほぼ同じサイズのポスターが並んだ。

 公選法は資金が少なくても選挙運動ができるよう、ポスター代を公費で負担する選挙公営制度を定めており、自治体が条例で上限を決めている。ポスターの掲示場数などによって変わるため、選挙区ごとに違う。

 同市選管によると、同市議選のポスターの1人当たり公費負担(事前審査基準での速報値)は、上限の57万5771~約15万6千円と候補によって大きな差があった。1枚当たりに単純計算すると、千円近い人から約270円まで4倍近い開きがあった。複数人が上限額ギリギリで請求していた。

 広島市議選では、安佐北区選挙区の請求額が上限の109万2866~11万8389円。1枚当たりは2759~203円で、14倍もの開きがあった。11万円余りと最少だった中堅市議は「この価格が実勢価格ではないか」と、公費の上限が高過ぎると指摘する。

 選挙ポスターには、雨風に強い特殊な紙と色落ちしにくいインキが使われる。写真撮影やデザインにこだわれば、製作費は通常より高くなるが、本県沿岸部で印刷業を営む男性は「インクや紙代は大したことない。高いのはデザイン料」と打ち明ける。

 慣例的に公費負担の上限額を請求する会社が多い上「直接受注の場合はまだいいが、代理店が入ると不透明な部分もある。ポスターとパンフレットをセットで注文する暗黙の了解がある場合もある」と明かす。

 広島市内の複数の印刷業者も「公費上限が高い」と指摘。ある印刷会社社長は「金箔(きんぱく)でも使わないとこの額は使い切れない。20年以上前の水準だ」と話す。

 公金の在り方に詳しい全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士(58)は「公営制度が一部で悪用されている恐れがある。市選管と議会は実勢価格を調査し、適正な価格へ上限を引き下げるべきだ」と訴える。