家族や友人と一緒に記事を読み、感想・意見などを書いて応募する「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)への参加を、不来方高(佐々木和哉校長、生徒832人)は全校生徒に呼び掛け、夏休み課題として取り組んだ。休み明けに図書委員が校内審査を担当し、応募作品を絞り込んだ。国語科の畠山政文教諭は「多様な見方や意見に接することで社会への視野を広げてほしい」と狙いを語る。

▼審査が学びに

 1、2年生全員と3年生の希望者がコンクールに参加。新聞を読み、記事を選んで自分の考えをまとめ、家族や友人と話し合った。周りの意見を聞いた後の自分の感想も入れて作品を完成させた。

 校内審査は8月下旬の放課後、1、2年の図書委員約30人が図書室に集まり、クラスごとに数日かけて全作品に目を通した。「他の人が書いた文章を読むと『この書き方でいいのか』『自分ならこう表現する』と考えるきっかけになり、いい勉強になる」と畠山教諭は説く。

真剣な表情で作品を審査する不来方高図書委員。クラスメートが記事からどんなことを感じ、考えを深めたかを読み取る

▼友人から刺激

 コンクールに応募するだけでなく、審査を初めて体験した同校1年の図書委員。友人の作品に触れ、学ぶことが多かった。平沢康至さんは「自分の体験を織り交ぜたり、たくさんの人の話を聞くなど、みんな上手に書いていて今後文章を書く参考になった」と振り返った。

 菊池萌花さんは「東日本大震災を伝える記事を選んだ人がいた。『震災の被害や復興の様子が遠くに住む人に届いてほしい』との願いが込められ、すてきだと思った」と感心していた。自身は「北朝鮮が飛翔体2発発射」(8月17日付)に危機感を持ちスクラップ。「テレビのニュースはふわっと聞き流すような感じだが、新聞を読むと内容がよく分かり、さらに親と話し合うことでしっかりと考えを深めることができた」と成果を語った。

 日韓関係に注目したのは加藤源浩さん。「日本チョーク、韓国で復活」(8月17日付)の記事を選んで母親と意見を交わした。「日韓の関係は厳しくなっているが、モノづくりに取り組む現場の人々の思いは一緒だと感じた」という。クラスメートの作品を読み「県内の記事に目を向け地元に対する考えを深めている人がいた。自分だと思いつかない考えや思いに触れ、さまざまな見方や考え方があると実感した」と刺激を受けていた。


新聞は難しくない 図書委員・黒沢瑞希さん(2年)

 高校生の皆さんは新聞を敷居が高く、難しいものだと捉えてはいないだろうか。読みづらく、面倒くさいものだとは思っていないだろうか。私もそう思っていた時期があった。「ニュースの紙面は文字が多く、読むのが大変だ」とか「難しい言葉で書かれているな」と思っていた。

 私が初めて新聞を手に取ったのは、幼稚園のころだった。母が読んでいた紙面の端に載っていた四コマ漫画に目を引かれた。「難しそうな新聞にこんなに面白いものが書かれているなんて」と驚いたことを覚えている。

 記事を読むようになったのは小学校高学年のとき。国語の授業の1分間スピーチで「最近新聞で読んだニュース」をテーマに話さなければならなくなったからだ。

 毎日のように新聞を読むようになり、気付いたことがある。紙面を開くと大きな見出しがあり、一目でどんな記事が書いてあるかが分かるような構成になっている。見出しから興味の湧いた記事を選んで深く読み込むことができるようになった。「イラク内戦の激化」や「三陸鉄道の模型展示」など世界のニュースから身近な地域の話題まで幅広くスピーチに役立った。それからは新聞を身近なものに感じている。

 新聞を難しいものと遠ざけることはない。難しい言葉に出合ったら、意味を調べれば自分の語彙(ごい)が増える。読み慣れると、有効に使いこなせるようになる。新聞は文章の読み書きを磨くとても大切なアイテムだ。その力が私たちの学習を支える基礎となる。


幸せを問う時代の力に 生徒が担当教諭にインタビュー

 不来方高の国語科、畠山政文教諭に新聞を使った教育の狙いや生徒への願いなどを同校図書委員の高橋美紅さん(2年)が聞いた。

 -NIEの狙いは。

 「普通の授業だと各教科ごとの学習となるが、新聞を読むことで全教科またがって学習できる。そして、社会と上手につながることができる。新聞は視野を広げながら成長するための一番良い教科書なのでたくさん触れてもらいたいと考えている」

 -活用方法と効果は。

 「今、本校では各教室棟にNIEコーナーを設けている。新聞は小論文を書くうえで大事な教材となる。小論文を書く機会が多い人に特に活用してほしい。意識の高い人であれば1年生の時から記事を読んだり、スクラップしたり社会の出来事に目を向けていると思う。そのように取り組んでいる人は周りの人より良い文が書けているはずだ。また、NIEについてのアンケート結果を見ると、生徒の語彙が増え、速読力がつくなど効果が高いことが分かっている。やはり、読めば読んだ分だけ力になる。もっと多くの人に効果を実感してもらいたい」

 -不来方高生に願うことは。

 「もっと新聞を読み、政治や経済など今までなかった知識も幅広く身に付けて、人としてのバランスを良くしてほしい。今学期には自由に新聞をめくることができる閲覧台を新たに設置する。多くの生徒の利用を期待している」

 -私たちにとって新聞とは。

 「今は『幸せ』とは何かを考える時代だ。新聞をその一助として利用しよう。生徒だけでなく先生方も。忙しいと思うが、仕事の合間に新聞を読み、もっと授業に取り入れて生徒たちの視野を広げると同時に生涯学習につなげてほしい」