とかく人の世は感情に流されるもので日本人は殊にも議論下手と言われる。異論反論が紛糾すると、つい感情論に発展し、「良い人」「悪い人」とレッテルを貼りたくなるから始末に負えない

▼日本政治の権力中枢、自民党総務会は全会一致が原則。党則では「出席者の過半数で決する」とあるが、挙手による採決に踏み切ったのは2005年の郵政民営化修正案の1度のみ。総務会で反対を貫く場合は「退席」という手段を取るのが伝統だ

▼いかにも聖徳太子以来の「和」を重んじる日本型の意思決定だが、満場一致にこぎ着けるまでは並大抵ではない。根回しを重ね、少数派のメンツにも配慮し、落としどころを探る。自民党政治が調整型と言われるゆえんだ

▼かつては「泣く子も黙る」と揶揄(やゆ)されるほど論客が激突したが、安倍政権以降、官邸の追認機関との指摘もある。とはいえ欲望と嫉妬が渦巻くのが政治の世界。そこで織りなされる権力闘争は今も永田町の本質だ

▼党本部6階にある総務会室は細長い楕円(だえん)形のテーブルが置かれ、「総裁」「幹事長」の名札が配置。総務会長は中心に座る。会長室には歴代会長の写真。重量級の面々が居並ぶ

▼親子2代で就任した鈴木俊一衆院議員。善幸元首相譲りの調整力は折り紙つきだが、やじ馬目線で言えば時には官邸との丁々発止も見てみたい。