東京電力福島第1原発にたまり続ける処理済みの汚染水をどうするのか、判断が迫られている。

 敷地にはタンクが林立し、保管中の水は7月末時点で約110万トン。東電は2020年末までに137万トン分のタンク容量を確保する計画だが、それ以降は未定だ。

 東電は先ごろ、タンクでの保管は22年夏ごろ満杯になるとの試算をまとめた。大型化などで保管容量を増やすのは困難だという。

 原子力規制委員会は薄めての海洋放出が合理的との考えだ。試算には、放出決定を国に促す姿勢がにじむ。

 処理水が増え続けているのは、溶融核燃料を冷却する注水や、流入する地下水が次々と汚染されていくからだ。

 処理水の処分方法は政府の小委員会で検討し、地元など関係者との調整を踏まえて国が基本方針を決める。

 試算だと3年後に限界が来る。規制委の更田豊志委員長は「処分方法が決まったとしても準備に少なくとも2年はかかる。意思決定の期限が近づいていると認識してほしい」と希釈しての海洋放出を改めて求めた。

 しかし、漁業関係者は反対姿勢を強める。当然だろう。事故によって甚大な被害を受け、抑制的な操業を余儀なくされている。

 政府小委員会は8月の会合で、漁業関係者からの求めが多かった長期保管を初めて正式議題に取り上げた。

 放射性物質で汚染された地下水は除去設備で浄化される。ただ、トリチウム(三重水素)だけは取り除くことができない。

 この物質は運転中の原発でも生じ、放射線の影響が少ないとして世界で放出が認められている。しかし、たとえ生物への影響がないとしても、風評被害の懸念がある。耐え続けてきた漁業者の苦労が水泡に帰しかねない。

 処理水には韓国も目を向ける。日本に対して海洋放出計画の有無など事実関係の確認を要求。政府は、現時点では具体的な結論が出ていないと回答した。

 韓国は原発事故に関し、本県産を含め8県産の水産物の輸入を禁止。世界貿易機関(WTO)がその措置を容認しているだけに、処理水の行方は気になるところだ。

 可能な限り長期保管の道を探るべきだ。その場合、自然に放射線量が減るのを待つことになろう。原発敷地外での場所確保は本当に難しいのか政府は精査すべきだ。

 仮に海洋放出すると判断するなら、漁業者に対する国の全面的なバックアップの約束が不可欠だ。これまでの汚染水漏れや公表の遅れで信頼感を欠いている東電と漁業者の関係構築も大前提になる。