人工知能(AI)を備え自動で標的を識別し攻撃を判断する「殺人ロボット兵器」。この規制に関する国連の専門家会議が先月スイスで開かれた

▼米国は人間の意思を介さずに敵を殺傷できる自律型兵器を、核兵器、精密誘導兵器に続く「第三の軍事刷新」とする。日本は完全自律型を開発しない立場だが、力を入れる米ロなどは後ろ向きで、議長報告に条約などで規制する方針は明記されなかった

▼現代の軍事作戦を描いた映画「アイ・イン・ザ・スカイ」(2016年公開)。舞台はテロリストが潜伏するケニア。英米と現地の軍が無人偵察機を使った拘束作戦中に、自爆テロが準備されていることを知る

▼ロンドンの指揮官は米本土の無人機オペレーターにミサイル発射を命じるが、アジト近くにパンを売る少女がいることから民間人の犠牲を懸念する政治家が軍人と対立

▼最終的に攻撃を実行するが、少女は巻き込まれ命を落とす。巻き添えによる少女の死亡率が50%以下となるまで、指揮官が何度も部下に着弾地点を計算させる終盤のシーンには何とも言えない気分にさせられた

▼最先端技術が簡単に命を奪う戦場だからこそ人間の判断は必要だ。映画のような状況をAIはどう判断するのか。目の前の生死に関わる決定の責任を人が負わなくなれば、命の重さは軽くなってしまうだろう。