安倍晋三首相の3期目の自民党総裁任期は、2021年9月まで残り2年。党内に4選論もくすぶるとはいえ先行きは不透明な状況で、今回の内閣改造・党役員人事に当たって政権の「総仕上げ」を意識したのは想像に難くない。

 12年12月に首相に返り咲いて以後、9回目となる人事。国政選挙で連戦連勝の「1強政権」は、それだけ当選回数を積み増す議員が増えるということでもある。

 衆院当選5回以上、参院当選3回以上の入閣待望組は70人に上るという。各派閥で、派内の秩序維持のため「順送り」や「年功序列」を求める声も高まろうというものだ。

 安倍首相は、今回の人事を「安定と挑戦」と位置付け麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、党役員では二階俊博幹事長や岸田文雄政調会長らを据え置いた。「安定」を維持した上で、いかに「挑戦」の姿勢を打ち出すかが腐心のしどころだろう。

 閣僚19人のうち、17人が交代する大幅改造。初入閣は13人で、安倍内閣では最多となった。中でも環境相で入閣する小泉進次郎氏は「挑戦」の象徴に違いない。党内バランスへの配慮から「待機組」も多く受け入れたが、前回の改造内閣では閣僚の資質が厳しく問われた経緯もある。

 泥沼状態の日韓関係など内外に課題山積の折、新閣僚の即戦力としての力量に、しかと目を凝らさねばなるまい。

 首相出身派閥の細田派から自らに近い萩生田光一、西村康稔両氏、首相補佐官を務めた衛藤晟一氏や河井克行氏ら「身内」と言われる面々を重用しているのも今回の人事の眼目だ。大幅改造で清新さをアピールしつつ、安倍政治の「安定と継続」を強く志向する姿勢がうかがわれる。

 背景に、悲願とする憲法改正に向けた環境整備があるのは想像に難くない。独自色の強い参院自民党にくさびを打ち込むべく、細田派で個人的にも近いとされる世耕弘成氏を参院幹事長に据えたのと合わせ、改憲への意欲は党役員の人事に顕著だ。

 二階氏の幹事長続投を「安定」の象徴として、ベテラン重視の陣容は、改憲論議の取りまとめに向け不要な混乱を避ける思惑が如実ににじむ。

 総務会長に就いた本県選出の鈴木俊一氏は、資質が追及されて辞職に追い込まれた前任五輪相を引き継ぐ再登板で「安定感」を発揮。総務会長は、父の善幸元首相が通算10期の在職記録を持つゆかりのポストでもある。

 総務会は、実質的な党の最高意思決定機関。首相と憲法観を異にする石破茂元幹事長ら党内が一枚岩とは言えない状況で、父親譲りの調整力が期待されて改憲の行方に深く関わる場面が増えそうだ。