稲穂が輝きを増す候。県産米の8月時点の作柄は、県全体で3年連続の「やや良」という。台風15号は本県をそれたが、台風シーズンはこれからが本番。収穫まで気の抜けない日々が続く

▼米の収量は、10アールを単位として計算される。10アールは、およそ1反。1反は1人が1年間に食べる米の量に由来する。豊臣秀吉は、世に言う「太閤検地」で土地の権利関係や規格を整え、1反は300歩と定めた

▼「歩」は坪(約3・3平方メートル)に等しいが、これは1食分の米の消費量が目安。1食当たり1人1合(約150グラム)を食べるとして、1日3食で計3合。1坪は、米3合を収穫するのに必要な広さというわけだ

▼この方式で、千合ほどの米が取れる面積が1反とされた。千合は、すなわち1石。「南部20万石」は、1年に20万人を養うだけの生産力を意味する。もっとも政略絡みで、実態に沿う数字とばかりも言えまいが

▼1石は約150キロに相当する。今や国民1人の1年当たりの米の消費量は50キロそこそこ。1962年度の118キロをピークに減り続けている。1反の収量は優に3倍を超えるのに、食べる量は3分の1になった

▼和食は2013年に世界無形文化遺産となったが、同年を境に家庭の米への支出がパンを下回り続けるのは皮肉だ。できることで守らねばと、稲穂波に誓う食欲の秋。