「地方自治は民主主義の学校である」。とは英国の法学者ブライスの名言だが、参考にした言葉があったらしい。19世紀フランスのトクヴィルが地方自治を「自由の学校」と呼んだことだ

▼米国を20代で旅した貴族トクヴィルは、地方自治の素晴らしさを知る。「自由が真に社会に根を下ろすのは地域共同体の中である」(宇野重規「トクヴィル」)。自由や民主主義を学ぶ場として、地方自治を捉えた

▼すると地方自治の国・米国が、日本の選挙の仕組みを変えたのもうなずける。日本は戦後、都道府県の知事を議会が選ぶ間接選挙にしようとしたが、連合国軍総司令部(GHQ)が直接選挙にさせた。自由と民主主義を地方で学んでもらう狙いがあったろう

▼県のリーダーを、県民自ら選ぶ権利を手にして70年余り。かつて投票率が80%を超えた岩手の知事選は今回、53%まで下がった。いろいろ理由はあれど、せっかくの権利を有権者の半数しか行使していない

▼県によっては、知事選の投票率が20%台まで落ちている。4人に1人しか参画しない地方の自治を、子どもたちが自由や民主主義を学ぶ「学校」と呼べるだろうか

▼「本当の地方自治を岩手で実現する」。4選を飾った達増拓也氏は約束した。その意気や良し。地方自治の理想を追うのならば、壊れかけた「学校」も立て直さねば。